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黒子くんとも会話を終えた私は隣の葉瑠ちゃんに目を向けた。
すると、葉瑠ちゃんは私と黒子くんを不思議そうに見比べて小さな声で尋ねた。
「あの子は苦手じゃないの?」
私はその言葉に苦笑を浮かべつつ頷く。
「まぁ、何だろうね。ちょびっとだけ苦手かな?」
途端、眉間に皺を寄せて黒子くんたちの座る席を睨んだ彼女。
私はそんな彼女の肩を叩いて眉間の皺をぐりぐりと伸びした始めた。
「うっ、やよいちゃん痛い……」
「あはは、変な顔。……それとあんまり睨まないの」
「はーい」
葉瑠ちゃんは型を落として私を見つめると、再びお好み焼きを口に入れだした。
すると、テーブルを一つ挟んだ向こうにいたトモちゃんがそれなりに大きな声で私達に声かけた。
「にしてもさ、一気にお客増えたわねー!」
私達は一斉にトモちゃんに注目するなり頷く。
目の前にいた一ノ瀬くんが私達は全員を見渡し、首を傾ける。
「……そろそろ出ますか?」
刹那、タイミング良く開いたお店の扉。
入って来たのは緑間と試合の合間に仲良さげにしていた黒髪くん。
「……あはは、ここってバスケ選手の行き付けのお店なのかな?」
目の前の一十木くんの言葉に私は少なからず違うだろうと笑いながら首を振った。
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