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泣いても笑って試合は残り10分。
私達は最終クオーターをただひたすらに眺めていた。
そして、段々と縮まる点数差。
黒子くんも出てきていて、ボールを殴るような動作を使うパスを使って赤髪くんにパスを回した。
すると、赤髪くんの前に緑間が立ちはだかった。
赤髪くんはそれに対して臆しもせずにそのブロックを振り切り、見事なダンクシュートを決める。
隣の一十木くんが笑顔で私に向かって親指を立てた。
「へへっ」
こういう時は返すのが当たり前だから、私も返しておいた。
そして、再びコートに目を向けると後残り2点数差。
緑間が黒髪の青年からボールを受け取って、シュートを撃とうとする。
けれど、それはフェイク。
ただ、黒子くんはそれを予測していたようで彼はそのまま緑間の持つボールを叩き落とした。
そこで、試合終了のブザーが鳴り響く。
「……勝ったのか?」
ポツリと来栖くんの口から漏れた言葉。
それに対して私達は頷き、嬉しさから声を上げる。
「……おめでとう」
私は最後に黒子くんの方を見て笑いながらそう言った。
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