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来栖くんの呼ぶままに皆の中心に行けば私の腕に抱き着いてきた葉瑠ちゃんと私の横腹をつつくトモちゃん。
私は目の前で苦笑するハルちゃんに対して目を向ける。
「えっと、どういう状態?」
同時に、両脇の二人とハルちゃんが目を見合わせた。
「どういう状態って、アンタいつの間に翔ちゃんと仲良くなってんのよ」
「そうそう!あれ、でも……なんで向こうは名前呼びでやよいちゃんは苗字呼び名?」
私は首を傾けて来栖くんの方向を見る。
すると、向こうも一十木くん達に囲まれながら苦笑いでこちらを見ている。
「……やよいちゃん?」
私は来栖くんから視線を外し、私の名前を呼んだハルちゃんに何でもないと笑顔を向けて両脇の二人を離させた。
そして、トモちゃんは私の目の前で腕を組みながら笑った。
「で、理由は?」
「理由って言われても、私も今気付いたからどうとも……」
途端、驚愕に開かれる六つの目。
「え、今気づいたの?」
私はそれに頷く。
「別に気にならなかったっていうか、何というか……」
3人は私の目の前で大きく溜息を吐いて私を連れて未だに話し込んでいる一十木くんたちの前まで私の背中を押した。
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