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▽ 4


放課後、私はテツヤに「先に帰る!」とだけ言って教室を飛び出した。

向かう先はフランの元。

そして、前方に相変わらずの顔で空を見上げているフランを見付けた。

「フラン!」

「遅いですねー」

間延びした口調が少し可愛い。

無表情じゃなければもっと可愛いのに。

「……なに失礼なこと考えてるんですかー?殺しますよー?」

「……ごめんなさい」

私が軽く彼に謝ったところで、私達はそのまま会話を続けながらその場から歩き出す。

「美桜さんって死にましたよねー?」

「うん」

「六道輪廻ですかー?」

「いや、違うと思うよ?地獄を巡った覚えはないし……」

「記憶ないだけじゃねーのかよですよー。つか、覚えてるの話じゃねーですよー?」

……この態度はベル風に言うと、かっちーんものだけど黙っておこう。

私は深呼吸を一つして、口を開く。

「物覚えはいいから忘れたことはない……と思う。って言うか、ボンゴレのみんなはこの世界にいるの?」

素朴な疑問。

これはずっと思っていたことだ。

フランは静かに私に視線を寄越すと頷いた。

「はい、イタリアの方の本部にいますよー?」

「そっか……」

私はそっとまたみんなに会えるという可能性に胸を撫で下ろした。

「ボンゴレに、裏社会に戻ってくる気はありますかー?」

フランは私から視線を空に写しながらそんなことを口にする。

そして、そんな彼の横顔を見ながら私は迷わず肯定の言葉を口にした。

「うん。でも、中学校は卒業しないとね」

途端に弾かれた様にこちらを見た彼は、少し悲しげに目を細めつつもおどけた様子でこう言った。

「日本はめんどくさいですねー。まあ、任務でここに来たミーには関係ないですけどー」

「あ、任務なんだ」

「しょーもない任務ですよー」

「どんな任務なのかは今は聞かないでおくよ」

「了解ですー」

私は『暗殺部隊も噛んでいるのにしょうもない任務とはどんな任務なんだ?』という疑問を抱えたまま、そのまま彼と他愛もない会話を交わしながら帰路を歩んだ。



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