>> 凪あす
『誰知らぬカフネ』

underを書く時は毎回どこまで生々しくするか悩みますが、この話だと紡の見た夢の内容は紡自身に経験がないのでぼんやりした感じでいいとして、その後一人で処理するシーンを入れるのはやりすぎたかなと思わなくもなく。執筆してる時は個人的に自然な流れだと思っていたので悩まず書いてましたが、読み返してみるとそのシーンがあることで生々しさが跳ね上がってる感が。
でも、好きな女の子と一緒に暮らしてたら、こういうこと何度もあったと思うんですよね。健全な男性なら生理的に昂ってしまうことはあるし、そういう時にどうしてもちさきの顔が浮かんでしまっただろうなと。紡はちさきにしか興奮しなさそうだし。
そのことに罪悪感と自己嫌悪を抱いていて、でも欲は消せなくて、ぐちゃぐちゃに悩んでいたらいいなと。
なので、生々しすぎて引かれてないか心配ではありますが、紡の欲について描くならここまで書いた方がやっぱりしっくりくる感じはします。

そういう欲を持っていながら、告白するまではちさきのことを抱き締めなかったというところも、個人的には好きなポイントだったりします。
あれだけ泣いてるちさきを見ていたら抱き締めたいと思ったことは何度もあるだろうし、とくに勇が倒れてちさきにしがみつかれた時なんかは抱き締めててもおかしくはないと思うんですよ(それこそ、まなかを抱き締めた時の光のように)。なのに、ちさきの肩を掴むだけで抱き締めはしなかったのは、自分の中の欲に自覚的だったからじゃないかなと。そういうところ、やっぱり誠実なんですよね。

それでも髪には触れるところがまたいいですよね。19話のちさきの髪をそっと掻き上げる紡の手が本当に大好きで。普段は隠している想いとそれ以上は踏み出せないもどかしさが切なくていいんですよね。
だから、この話でも最後はちさきの髪に触れてもらいました。
ちなみに、ちさきの髪はちょっと癖があるくらいで「波打つ」ってほどでもないのですが、少しでも海っぽさをだしたくて「緩く波打つ」という表現を使っています。
ちさきの少し癖のある青い髪が海みたいで大好きなので、この話でがっつりちさきの髪を海に例えられたのは楽しかった記憶がありますね。

同じく19話の一緒に梅ジュースを飲む紡ちさも大好きなので、似たようなシーンをたくさん書いてますね。あの梅ジュースの一連のシーンは紡ちさのよさがぎゅっと詰まってていいですよね。
お互いに自然な感じで、あんなふうに一緒に話すことが多かったんだろうなと。きっと眠れない夜も一人ではなかったんだろうなと。

冒頭の紡のクラスメイトの少年はネームドキャラにこういう役回りをさせるのは流石にどうかと思って適当なモブにしましたが、その結果たいして親しくないクラスメイトにも紡がちさきを好きなことがばれてる状況になってて面白いですね。
この少年は紡の気持ちに気付いてるわけではなく、普通に紡はちさきと付き合ってると思ってるだけな気はしますが。
三橋教授が気付くくらいですし、紡とちさきの間には絶対になにかある雰囲気があって、だからこそどんなに否定しても噂されてしまうんでしょうね。
でも、紡本人はちさきに「好き」と言われて夢だと確信してしまうという。ちさきと付き合ってると噂されているのを紡はどんな気持ちで聞いていたんでしょうね。
(2024/01/22)
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