>> 凪あす
夜舟

勇が倒れてちさきにしがみつかれた時のなにか決意したような表情とか、その後の「取り返しのつかないことなんかまだなにもない」発言とかからすると、紡は勇が倒れた時にはもう海村を目覚めさせるために大学で研究することを決めていそうなので、自分で書いたものとはいえ解釈違いではあるのですが、内容としては結構気に入っているという、なんとも難儀な話です。

やっぱり紡視点だと、紡の葛藤を書きたくなるんですよね。原作の時折垣間見える紡の葛藤が大好きで。
迷って、悩んで、苦しんで、それでも前に進むために足掻いている紡が好きです。

ただちさきとずっと一緒にいたり結ばれたりすることだけが目的だったら、他の方法もあったとは思うんですよね。
勇が倒れた時点でちさきはかなり紡のことを意識していたので、時間はかかるでしょうけどずっと一緒に暮らしていればそのうち結ばれることはできたかもしれない。けれど、きっとそれでは正しく前に進むことにはならなくて。紡を好きになってしまったらみんなのことを裏切ることになると思っていたちさきはもちろん、紡も目覚めてほしくないと思ったままなにもしなかったことに罪悪感を抱えて生きていくことになるでしょうし。
ちさきと一緒に前に進みたいからこそ、紡は海村を目覚めさせるために尽力する道を選んだんだろうなと。
それって、本当にすごいことだと思うんですよね。原作では偶然にも五年で目覚めたけれど、本来ならその先の人生をすべて賭けたとしても叶わないかもしれないことで。それでも、その選択をした紡は強い意志の持ち主だし、ちさきへの深い愛を感じますね。

この話にでてきたのはみんな、絡むと紡の心の揺らぎが見えるキャラですね。
ちさきと紡の母親は言わずもがな、美海も似ているところが多いからか美海を励ます時は紡自身のかなり深い部分まで吐露してくれますし。だからこそ、美海を見て紡が励まされることもあったんじゃないかなと。変わらずに光を待ち続けている美海は紡とって眩しかったでしょうし。
あと、勇と絡むシーンはそんなに多くはないけれど、勇の前だとちょっと子供っぽくなるとこが好きです。
この話の冒頭の勇と紡の会話も気に入ってますね。勇の深く突っ込みはしないけど、ちゃんと見守っていてくれてる感が好きなんですよね。
(2024/01/11)
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