>> 凪あす
雨に溺れる

pixivのブクマはあまり伸びてない作品なので、あまり需要はないんだろうけど個人的にはかなり気に入ってます。
原作では紡視点の話やモノローグはほとんどありませんが、それでも垣間見える苦悩や葛藤がすごく好きなんですよね。
光たちに戻ってきてほしい気持ちと戻ってきてほしくない気持ち、相反しているけれど両方とも本心で、だからこそ苦しんできたってところが本当にいい。ちさきの「光を好きになると、どんどん嫌な自分になってく」という言葉の意味を、紡はちさきを好きになることで理解できてしまったんだろうなと。

冒頭のリュウグウノツカイはただの趣味ですし、珍しい魚に身を乗り出す紡もただの趣味ですね。
紡は普段大人びているように見えるからこそ、ギョメンソウにテンション上がったり海について海っ子たちに質問責めしたりと、海関係では子供っぽい反応をするところが好きです。原作でももっとそういうところ見たかったですね。

多分書いてる時はそんなに深く考えていたわけではないんですが、ちさきが光たち探しにいく前にちゃんと朝食と昼食つくっておいたとこで、ちさきのこういうとこ好きだなと認識しました。
原作でも不安定になっている時でもちゃんと家のことして勇のお見舞いに行ってて(これは勇といると安らぐというのもありそうだけど)偉いなと。
よくよく考えたら、ちさきっておふねひきが失敗してから長くても1ヶ月程度でご飯つくるようになっているんですよね。直後よりはましとはいえ立ち直ってなんかいないのに、自分のことばかりでなく勇と紡のことを気遣えるのがすごい。

勇の出番は多くありませんが、ちさきを迎えにいこうとする紡に「風呂、沸かしておく」と返す勇はらしく書けた気がして気に入っています。短い言葉の中に優しさが滲んでいる人という印象があるので。
勇は書くのが難しいですが、好きなのでもっとうまく書けるようになりたいですね。

書いてる時は意識してなかったけど改めて読み返してみると、ちさきを引き留める紡と最後の紡の手をとるちさきはちょっと対比っぽいですね。ある意味願いは叶ってて、けれどいまだに苦しいままで。
(2023/05/21)
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