[16]希望と絶望の間で
走れ。ただひたすら。
体にそう命令しても、走る足は速くならない。それどころか遅くなっているような気がする。
「はやく……はやく」
気持ちばかりが焦って、体が動かない。
速く、もっと速く。皆の所へ行きたい。行かなくちゃいけないのに。
「はやくっ……」
涙が空に散っていくのが解る。
今自分は走ることしか出来ない。それなのに、それすらも、ままならない体が恨めしい。
「ぶじで、いますように……」
また、笑顔で会えますように。
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思いと体が一致しないもどかしさ。
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