世の中は普通だと思っていた。当たり前に1日は過ぎて行き、当たり前の日々を過ごす。
彼も今まで、普通の日常を過ごしてきた。そう、この前までは・・・


「う〜タケマルちゃーん!」

「勝手に抱き付くな!暑苦しいんだよ!」

たった今、彼、深緑色のコートを着ている大柄な崇藤タケマルに抱き付いているのは、漆黒の燕尾服を身に纏い、赤い燃える火を想わせるように紅く長い髪の人物、夢霧ルイである。

「なーんーでー?別に抱き付いちゃ駄目っていい法律なんてないじゃんー仮にも俺のマネージャーなんだしな」

「テメェが勝手に決めただけだろ。俺は認めてねぇからな・・・そろそろ離れろ」

「いやーもうちょっとー!それにしてもタケマルちゃんって着痩せするタイプ?」

「何呟いてる・・・って待て、どこ触ってる!?」

「ただのスキンシップだってーあ、俺のこと一流のマジシャンだってここで公言してくれない?そしたらやめるから」

「なんだよその理不尽な交渉は、ただの宣伝じゃねぇか。・・・チッ・・・分かった・・・」

「お?公言してくれるんか?」

「・・・一流のマジシャンとやらはいねぇが、一流の変態なら今ここにいる・・・これでいいか?」

「なんか間違ってる・・・って投げ飛ばさないでぇー!ぎゃー!!!」




(うー・・・まさか背負い投げされるとは・・・ぼーりょくはんたーい)
(ただの自己防衛だ)



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