絶望の目覚め 希望の幕開け


・・・・・

誰かが私の名前を呼んでいる。

深い深い闇の奥、私の姿は見えない。意識だけがだんだんはっきりして来る不思議な感覚。

私の名前を呼んでいるのは誰・・・?

《起きるんだ・・・伊豆魅之あいか》

・・・・ッ!!!

頭の中に響く様な声。

その声がはっきり聞こえた時、私は背筋が凍る様な寒気に襲われた。

相変わらず自分の姿が見えず、どこにいるのかがまったくわからない。

ここは一体どこ?声の主は誰なの?

《私はエニグマ。ここはお前の精神・・・夢の中だ》

私の心に反応する様に、その声の主、エニグマが答えた。

ここは私の夢の中・・・どうしてあなたは私を呼んだの?

《お前を呼んだのは他でもない、お前に『内通者』の役割をやってもらうためだ》

・・・・『内通者』?

訳が分からない。一体何の事?

《詳しいことは後で話す。さぁ、本当の目覚めの時だ、・・・》



「・・・・っ!待って!!」

自分自身の叫び声で目覚める。

そこは、自分の部屋ではなく、学校の体育館だった。

前の方には、学校の生徒と思われる何人かの人達がこちらをこちらを見ている。

ほとんどか私の知らない人ばかりだったが、ただ一人、例外が。

床に届くぐらいに長く、綺麗な紅色の髪。

若干つり目がちな瞳は銀色に光っている。

漆黒の燕尾服を着ている、私の大切な、親友。

「・・・もしかして、ルイ・・・なの・・・?」

「・・・あいか・・・やっと、起きたのか」




それは、運命に抗う少女と、その仲間の物語。