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Diary


Sacred Secret

私が何時何処でどうやって生まれたのかなんて、分からない。
覚えていたのは、まるで浮かぶような心地よい、感覚だけ。

意思も、名前も、理由も与えられず、ただ無に浮かぶ存在だった私。
退屈なんて感情もなく、ただただ……浮かんでいるだけ。
ここは何処なのか、なぜ私が生まれたのか、そんな事は考える間もなく、無に流されていった。

その場所からすくいあげた、「それ」は、闇の様な、呪いの様な、その時の私には、得体も知れない存在だった「何か」。

そしてその「何か」は、無に浮かぶだけの私に、意思を、名前を、理由をくれた。

最初は、何の為にどうしてこんな事をしたのか分からなかった。
何もない私に何かを与え、ただ見ているだけなのか……
そんな思いは、気がついたら目の前にいた彼女、私の「友」を見た時に、忘れ去ってしまった。




虚構の学校が崩れていく。
崩壊する、瓦礫だらけの廊下を、私は歩く。
目が眩み、頭も痛い。鉄の味がすると思っていたら、また血を吐いていた。
それでも私は歩く。
今更、私が何を無くそうと怖くない。ただ、彼女が無事なのか……それだけが心配だった。

たとえ私が死んでも、消えても、無くなっても、彼女さえ無事なら、それでいい。
彼女の為に死ねるなら、それはそれでいいだろう。


頭が痛い。


このまま、この命を彼女に捧げてしまおうか……

頭の中で、声が響く。



何もない、無の泉から生まれた、何もない私に渡された、その命を友に捧げる愚かな私を、笑うのは誰か。
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2012/01/22 (14:41)


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