日常 *創作 in...ohter


 ずるり、と背後で音がする。
 背筋に感じる不気味な感覚に、不快な臭い。

「……っ!」

 振り向いた瞬間、背中に強い衝撃を受けた。そのまま吹っ飛ばされ地面に叩き付けられる。

「が……あっ……」

 声が漏れる。かなり痛いが、最初の頃より大分慣れた。
 何とか立ち上がり、改めて背後から襲ってきたそれを見据える。
 某ホラーゲームにでも出てきそうな異形……瑠菜は魔と呼んでいたそれ。
 常人だと一目見ただけでSAN値が激減しそうだ……というより俺自身もそうだったが。
 そんな事を思いつつ、首元に着けていたチョーカーを取る。

「っ……エクスカリバー!」

 叫んだ瞬間、チャームが眩い剣に変わる。
 異形の攻撃を避け、懐に潜り込み、そのまま斬る。
 斬られた異形は灰に変わる。
 息を吐きながら、元は異形だった灰を見据え、ようやく背中の痛みを心配する。
 幸い立てる様なので折れてはいないが、暫くは痛むだろう。

「まぁ、命があっただけマシか……」

 溜め息をしながら、歪んだその場から立ち去る。

 もうすっかり日常となったそれが、他の人にとっては知らない非日常だ。




fin...12.07.03


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