絶対零度 ※ in...engm


 つい先ほど、自分が斬ったばかりの「それ」に触れる。
 ただ、温かい。
 とめどもなく流れるその液体を掬い舐め、斬った「それ」の傷口に手をうずめる。
 手や裾が紅く染まるが気にしない。
 クチャクチャと「それ」の中を掻き回し、温もりを感じる。

 気付けばもうこんな事でしか温度を感じる事が出来なくなっていた。
 何処にいても、何に触れても、ただ、「冷たい」。
 人から流れる紅い血だけが、唯一自分が感じられる温かさ。
 自分はただ、それだけを求めていた。

 こうしてまた一人……犠牲者が増えていった





fin...12.06.19


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