廻るモノ in...ohter 頂上の近くまで来て、足が止まる。流石にずっと影時間の中走り続けて、体力の限界が近いんだろう。元々体力は無かった方だと自覚していたから仕方ない。 せめて、「彼」とは合流したい。そう思っていた矢先、下の階からかすかに迫る複数の足音の後、爆音が響く。何が起こったかはすぐに理解した。 (………無事じゃ済まないのは、分かっていた、筈なのに) すぐに彼らと対面するだろう。それでも私は、迷わない。それは私の目的、存在の為に。 それが間違っていたとしても。 彼との合流を半ば諦め、その場で立ち止まるのと同時に元仲間達が来る。 「……お生憎様、ここから先へ貴方達を行かせる訳には行きません」 夢を見た。 それは体験した記憶は無いのに嫌な程リアルで、どこか懐かしかった。 (……まさか、ね) 私には二年前の記憶がない。私の中にあった最初の記憶は、この白い部屋で目を覚ました事。自分の名前も知らなかった。 まぁ、記憶なんて無くても最低限の知識さえあれば何でも出来るよね! そう心で言いながら私はこれから私が過ごして行く教室に行く。 ちょうど入る時に、私と同じく転入してきた男子もいた。声を掛けようとしたら目の前で転んで気まずい雰囲気になったからか話しかけて来ずに若干憐れみの視線を送っていた。 初日から前途多難だけど、これから始まる新しい生活に期待せずにはいらるなかった。 「始めまして、有里廻です。これから一年、よろしくお願いします!みんな、仲良くしようね?」 fin...12.12.28 |