青い楯が見た世界 in...VP


私の見ている世界は、いつも黒かった。
それは私が自我を持つ前、まだ唯の組織の楯として産み落とされた頃の世界。
傷つき、何をされても受けても死ぬ事はなく、膝を着くこともない私。
上の命令でただ壊して、壊して、壊すだけの人形だった。



「施設の崩壊」で突然自由になった私は、どうすればいいのか分からず、ただ呆然と黒い世界を歩いていた。
私は何の為に産まれたか、これから何をすればいいのか、分からない。
私は、これからずっと一人……?


「あ、あのー、大丈…夫?」

黒い世界に声がする。それは初めて聞いた女性の言葉。

「えっと、目隠ししたままで、動けるのかな?とりあえず取ってあげるからちょっと……待って……ね……………ちょっと、屈んでくれないかな?」

彼女の言うままに屈むと、温かい感触と共に、世界が広がる。

「ほら、もう大丈夫だよ」

初めて見た色のある世界にいたのは、茶色の少女。




fin...12.10.30


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