黒豹と家出少女 in...VP ストン、と軽い音を立て、それは目の前の男の頭に突き刺さっていた。 「……な、」 そいつの隣の男が何かを言いかけた時、矢が刺さった男の頭が破裂し、脳や血と共に鏃が飛散した。 それは一瞬の出来事で、気がつけば床に転がっていた俺以外は皆死んでいた。 あまりの出来事に思考が追いつかなかい。目の前の凄惨な光景も今は気にして居られない。 「…威力はそこそこ、範囲も中々ですか」 不意に声がした。顔を上げると、少女の姿が。 ……彼女は、何時から居た? 更に頭がごちゃごちゃになる。扉が開く音はしなかったし、第一矢が刺さった時も窓や何かが割れる様な音はしなかった筈。そう思っていると、彼女と、目が、合った。 「……あ」 混濁している様に見える橙色の眼、短めな同色の髪、そして、髪の間から見える、人にしては長めのその耳。 「下範囲の対象は無傷、か…それじゃ」 「いや、ちょっと待て、おい!」 この状況下の中、初めて声を出したかもしれない。 「何ですかあなた?因縁つける気ですか?」 「そんなんじゃねーよ!ってかこれ全部お前がやったのか?」 「うん」 あっさりとした簡潔な、人を殺めた気などしてない様な彼女に、今まで感じた事のない妙な感覚を覚える。 「そういうあなたは……奴隷ですか?見た所あまりいい扱いはされなかった様だし、私がこれ殺してあなたは万々歳じゃないですか。それともあなた真性のM?」 「違う!!」 手酷い扱いを受けていたのは事実だし確かに殺したいほど憎かった、でもここまで惨くするまでは…… 気がつけばそいつは俺の前で屈んで顔をのぞき込んでいた。 「………あなた、面白いですね」 「…………………は?」 それが後々彼女……レイの一人家出旅に付き合わされ、振り回される事になる出会い。 ―――――――― 最近VPばっかな気がするの仕方ないね fin...12.10.29 |