人形師と彼女 in...ohter


 体中にじんじんと感じる痛みで目を覚ます。
 そこは多少狭くて、薄暗い空間だった。
 周りを見渡せば棚とおぼわしきものが見当たる。
 ……なんで私はこんなところにいる?
 確か如何にもDQNチャラな不良にカツアゲされて路地裏に逃げ込んで追いかけられてフルボッコにされて……

「……ってか何処だよここは!!」
「ちょっと悪いけど静かにしてくれないかな」

 思わず叫ぶとすかさず奥から声がする。

「……えっ、あれっ、えっ……」

 声がした方……自分の真後ろの方を見ると、その空間にしては少し大きめな机に誰かが座っていた。身長から見たら大体同じか少し上位かな……机の周りには僅かにランタンの灯が燈っていて僅かに明るい。

「店の前に倒れていて邪魔だったから運ばせてもらった」
「えっ……あっ……ありがとう……ござい、ます」
「礼なんていらないよ。邪魔だっただけだから」

「…………」

 初対面の人に、さらっと二回も邪魔っていわれたの初めてかもしれない。
 内心そう思っていると、その人はじっと私を見た……ように見えた。いや、自意識過剰かな?だって初対面で二回も邪魔って言ったあの人が自分の事をまじまじ見る様には思えないし……

「……君、男?」

 流石にちょっとカチンときた。

「ちっ……げーよ!!女だよこれでも!男に見えるけど女だよ!!男っぽいって言われたのは何回もあるけど男って言われたのは初めてだよ!!」
「……ああ、そう。うるさいから叫ばないでくれない?」

 もうこいつと話すのが嫌になってきた……。いや私も数少ない友達に器小さい方だって言われてるけどさ、流石に初対面にここまで言われたらカチンとこない?くるよね?っていうか暗いのに目がなれてきて分かったけど何気にかわいくないコイツ?何なの?かわいかったらなんでも許されると思ってるの?人生そこまで甘くねーんだよばーかばーか。あーあコイツ爆発すれば良いのに。主に顔とか。
 そんな事を思っていると、突然ソイツは何か手にとってこっちに向かってきた。

「とりあえず、あげる」
「は?あげるって何……うぎゃあああぁぁぁああ!!」

 彼に渡された物をみて、思わず素で叫んだ。不気味な程無機物な目に少し笑った様な表情の……

「だからうるさいって。ただの人形だよ」
「ああああぁぁぁぁ……死ぬ……呪われる……ってえ?人形?」

 改めてよく見ると本当にただの人形だった。紐みたいなのやハンドルらしきものもついてるから恐らく操り人形。マリオネット。何だよ……びびって損した……よく見れば棚にはずらりと人形が並んでるし。最初に店がどうこう言ってたし、ここ人形屋か何かかな……?薄暗いから怖いけど。

「お金はいらないよ。どうせ取られてると思うし」
「あっ……その、なんか、どうも……」
「……一旦店閉めるから、出ていってくれない?」
「あっ、はい……」

 気迫に押されて思わず中腰で出口と思わしき場所に向かう。

「それじゃあ、またね」

 出て行く時、奥からそんな声が聞こえた。



「またね、って……また会う機会でもあるのかって……」

―――――――
わけわかめだけど一応カゲプロ主の二人。キャラとの絡みいつか書くし…かくし…




fin...12.08.25


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テーマ「人外ファンタジー」
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