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   10万打記念【椰月様】
【きみはだれのもの?】2014/08/04
※数百年単位過去の話ですので名称が今と異なる為、便宜上国名は今の名称で表示しています。







「いーーやーーあーーるーーーーー!
舞琉は我の妹にするある!!」

「そんな勝手な!
舞琉はこの日本の妹ですので、いくら貴方と言えど渡す訳には参りません中国さん!」

「(い、いたい………!!!)」


晴れた日の昼下がりのことであった。
まだ舞琉が幼く、国としての確立もままならなかった時代。日本と中国を交えた三国で貿易体制を敷く会合が中国にて開かれていた。舞琉連邦が開国してからと言うものの、積極的に会合に顔を出していた舞琉であったが、日本以外の国と出会うのが初めてだった舞琉は張りつめた面持ちで中国と相見えた。

「……―――〜〜〜!!!!!」

「はじめまして、舞琉と申し―――……!!?」

「かわいいあるーーーー!!!」


ぎゅーーーっ



……という経緯があり、舞琉を挟んでの中国と日本の攻防は、終わりの見えぬ延長戦へと移行していた。中国の腕の中で未だにもがく舞琉は、悪化する攻防戦に比例してそろそろ息も苦しくなってくる。
始めこそは「あ、天国」などと邪な感情で安直に中国に捕まっていた舞琉も、流石に成人男性の体格である中国にかなりの圧で抱きとめられていれば、身の危険を感じる。てしてしと中国の腕を叩き続けるも、彼女の精一杯の抵抗は虚しくもあまり意味をなさなかった。
日本も日本で、舞琉を助けることよりも「舞琉が日本の妹」という事にこだわりがあるようで、中々彼女自身の心配をしない。

「だから、舞琉は我の―――っ!?」

いよいよ窒息しそうな舞琉は、最後の力を振り絞って中国の脇の下をつつき出した。
その効果はテキメンな様で、中国は目に見えて驚いた顔をすると、舞琉に回していた腕の力を緩める。その一瞬で透かさず中国の懐から抜け出した舞琉は、追い打ちを駆けるように油断した中国身体を倒して馬乗りになり、いたずらっ子の様な笑顔で指をポキポキと鳴らした。

「お、か、え、し……じゃーーーー!!!」



*



結局舞琉によるくすぐりの刑はたっぷりカップラーメンが伸び切る程の時間まで続き、彼女の傍にはそれを呆然と見守っていた日本と、笑い疲れて沈没している中国が転がっていた。
どうだ、参ったか!と言わんばかりに誇らしげな顔で腕を組んでいた舞琉だったが、事後になって漸くしてやっと当初の目的を思い出し、顔面を蒼白させる。

「はっ!?
ご、ごめんなさい中国さんーー!!?大丈夫ですか!!?
初めまして私舞琉と申します外交しにきましたあああ!!!」

「今更あるな!?!
その外交相手首絞まってるあるよ出会い頭に絞殺あるか!!?」

舞琉が胸ぐらを掴んで上下に揺すれば、中国からは鋭い突っ込みが返ってくる。端から見れば歳の離れた兄と妹がじゃれ合っているようにも見えるその光景を、日本は少し離れた所でじっと見つめている。その表情にはいつもの無表情が張り付いていた。

緊張した顔で必死に中国と話す舞琉に、中国は可愛い可愛いとハグをし、頭を撫でる。日本は今まで、舞琉に対して中国のする「妹を可愛がる」ような接し方をした事はなかった。その所為もあって、抱きつかれた舞琉が鬱陶しがりながらも頬を染めているのをみて、自分の中に芽生える焦れた感情にむず痒くなる。

「……。」

ぎゅう。

「へ?」

気づけば日本は、舞琉の身体をぎゅっと抱きしめ、中国から遠ざけていた。困惑する舞琉とは裏腹に、中国はその光景を見て、大きく目を輝かせる。その顔は嬉しそうに綻んで、その両手は舞琉を抱きしめる日本を丸ごとすっぽりと抱きしめた。

「なにあるか〜日本!
我が羨ましいなら早くそう言うよろし!
心配しなくても、舞琉も日本も我の大切な弟妹あるよ〜!!」

「……違います、中国さん。
私は貴方のものではないし、舞琉も貴方のものではありません。
この日本の妹です。」

「舞琉が日本の妹でもいいあるよ!
日本は我の可愛い弟あるからな〜〜!」

「わっ、私は誰の所有物でもありません〜〜っ!!」



今は昔。中国と日本の腕の中で、もみくちゃになっている舞琉がいましたとさ。




きみはだれもの?




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