キリ番お礼【紅火様】
【ルーガ君とメシウマな皆様】
「うー…ん、」
世界会議の半刻前、何時もの様に早めに会議室に入っていた日本は、一人自席で頭を抱えていた。既にまばらに人が入っており、それなりに他方から話し声が聞こえ、彼のうなりに耳を傾ける者は少数だった。
「どうかしましたか、日本?」
そのうちの一人である舞琉は、手元の資料から顔を上げて日本に向き直った。当の本人はその言葉を待ってましたと言わんばかりに舞琉に詰め寄った。
彼女はこのとき、これは長いぞと、人知れず少しばかり後悔をする。
「それが、大問題なんです。」
「はぁ。」
「ルーガ君が……ルーガ君の新刊が夏までに上がらないかも知れません…。」
「「……なっ……!?」」
先ほどまで日本の相談に乗り気ではなかった舞琉は、水を打ったように椅子から立ち上がった。その顔は恐怖に染まり、指先はわずかに戦慄(わなな)いていた。
そしてその舞琉と同時に声を上げた人物……少し遠くの席に腰掛けていたハンガリーは、強烈な目力で日本を射抜く。恐ろしいものを視るような目であるが、端から見たらその眼光こそが恐ろしい。ハンガリーはつかつかとヒールをならして日本のもとへ向かった。
「日本さん、ちゃんと説明して頂戴。
まさか本命の琉攻め本を落とすっていうの!?」
「そうですよ菊!!!
あなた、昨年の大晦日からずっと構想を練っていたじゃありませんか!!」
日本は頭に降り注ぐ腐レンドによる非難に頭を抱え、机上のメモ帳を絶望的に凝視した。
「それはその通りですけども!!!
最近ルーガ君のお家の情勢の関係で一ヶ月も彼の顔を見ていないんですよ!!?
ネタは降らないし彼の顔も見れないし声も聞けない……このままじゃ発狂してしまいます…!!!」
「あらそうだったの、安心して日本さん、ルーガ君の家はもう安定してきているし、今日にでも顔を出してくれるわ。」
「そうですよ菊、元気出してください。琉←日ごちそうさまです。」
「お二人とも励ましは嬉しいのですが鼻からトマトケチャップと言う名の本音がだだ漏れですからせめてしまってください。
沙羅、貴方に関してはもう隠すつもり無いですよね!?」
ルーガを想って頭を抱える日本を見て誰が萎えようか。いいや、寧ろ滾る。そんなポリシーを掲げる二人はテンプレなスマイルを貼付けてハンカチで鼻下を覆った。両者の片手同士はキツく結ばれている。
((琉日おいしい……!!))
「そういえばこの前、ルーガ君の家で会談があった際に遠目に彼を見たのですが、なんとイギリスさんと一緒で…」
「「kwsk」」
「こっそり近寄れば、何やら普段温厚なルーガ君がイギリスさんを言葉攻めして、イギリスさんがすごく押されていました……!!」
舞琉の言葉に日本もハンガリーも身悶え、机に両肘をついて伏せる。どうやら彼らの中のヒットポイントはガリガリと削られたようだ。
「会話は、会話内容は聞けなかったんですか!!」
「ごめんなさい、その顔がすごくサディスティックで、黒琉にヘヴン状態になってました…。けれど【今夜は覚悟しててね?アーサー。】とかですよきっと…!!」
「ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますぅぅぅぅうう!!!!」
一心不乱に白紙のコピー用紙を妄想で埋め尽くす日本と、遠い彼方の琉英を崇拝し始めるハンガリー。そこには日本男児や淑女の姿はなく、ひたすらに萌えを追求するだけの存在と化していた。
そこでハンガリーははっと目を見開くと、真剣な表情で再び二人に向き直った。
「そうよ!私も見たの……!
この間イタリアちゃんに用があって家までいったら、庭先でルーガ君とイタリアちゃんがいたの。
イタリアちゃんにルーガ君が何か言ったら、イタリアちゃんが困った様に顔を真っ赤にさせて……!!
これは知らせなくちゃと思って、写真だけはとっておいたのよ!!!」
「「さすがハンガリーさん!!!抱いてください!!!!」」
彼女が見せた画面の中には、確かに頬や耳を真っ赤にさせたイタリアが映っている。ルーガは後ろ姿だけではあるが、背格好や服装は確かに彼のものと見て間違いない。
「ぐはっ……っ!!!」
「ごぽ…………ハ、ハンガリーさん、後でそのデータくださ……。」
「ええ、ええ!もちろんよ!!!」
まだ始まってもいない世界会議場の一角は、既に萌えの対価として尋常ではない出血量の血溜まりが存在していた。
「どこまで美味しいの、ルーガ君……!!
それでも私の中では琉日が一番素敵です……琉日万歳ッ…!!!」
力尽きた様に膝を折る舞琉は、倒れる瞬間に誰かに支えてもらう。その主を確認すると、そこにはひどく真剣な瞳で笑う台湾がいた。
「それ激しく同意ヨ、舞琉ちゃん。
琉日、琉中、日→→→琉←中(ジレンマ)で次の新刊は決まりネ!!!」
がしっ
「そこに元カレ香港と振り向いてほしい韓国が混ざってくるのね、そういう事ね…!!!!」
「舞琉ちゃん…!!!」
「台湾ちゃんっ……!!!!!」
互いに抱擁し合う舞琉と台湾を忙しなくメモり写真を撮るハンガリーと日本。もはや彼らに見境というものは存在しないようだ。
「私がそのCP内に存在するのが少々不服ですが……すごく美味しいです!!
ルーガ君になら突っ込まれても良いですむしろつ「それ以上言ったら張っ倒すよ、日本?」る、ルーガ君………!!!」
会議場の扉に寄りかかっていたのは、ひどく不機嫌な顔でにっこり微笑むルーガ。しかしその行為は今の腐レンズには逆効果であった。
一つ補足しておくと、ルーガは連日重なった多忙で眠れない日々を乗り越えてこの世界会議の当日を迎えているため、目は細められ、大きな話し声が頭に響いてイライラしていると言った塩梅である。しかし彼女らの目には都合のいい高性能フィルターが駆けられており、鬼畜攻めなルーガ君に攻められる日本さん美味しい、と悶つく。日本本人も長期間ルーガに会えていなかったことからその瞳に涙を浮かべていた。
「ルーガ君…!!あなたと会えなくてどれほど苦しかったか……!!
罵倒?ええ、ぜひどんどん罵倒してください我々の業界ではご褒美ですとも!!!」
「え?なに、どうしたの…?後声のボリューム押さえてほしいな徹夜に響くから…。」
先ほどまで声を張っていた女連中は写真を撮り、動画を撮り、琉日ネタをメモりと、黄色い奇声を上げるどころか、黙りながらも高速でそれらの作業をこなしていた。腐女子と言うのは抜かりの無い生き物である。
「日本の家に泊まりに行ったルーガは二人和やかな雰囲気で過ごしていたが夜も更けると日本は連日逢えなかった分の箍(たが)が外れた様にルーガを求めそしてルーガは浴衣を少し緩めて日本を誘う縁側に響く甘い声と言葉攻め【そんなに大きな声を上げてると、隣の人に菊のエッチな声が聞こえちゃうよ?】展開からの鬼畜攻めはいきたぁぁああぁぁああ!!!!!!!!」
「素敵よ舞琉ちゃん、ヌけるわ、それ、いいわ……!!!」
「ワタシ手伝うヨその本寧ろ手伝わせてネ!!!」
「だから、頭に響くって言ってるでしょ。
舞琉、ちょっと黙っててくれない?」
人差し指を口元に持ってきて、し、と合図すると、寝不足も相まっていつも好青年なルーガの攻め気が外に出る。舞琉は顔を真っ赤にさせてはいと小さくうなずき、それ以降は脳内でイケナイ妄想を繰り広げるのを徹してた。
周囲の人間は当然【琉舞ktkr!!!!】とガッツポーズを見せる訳であるが、それを遠目で眺めていた世界会議のメンバーは今日も平和だなと密かに思うのであった。
ルーガ君とメシウマな皆様
--------------------
大変お待たせいたしました、紅火さんに捧げます……!!
もう何も言うまい。
キリ番ヒットありがとうございました、これからもよろしくお願いします^^
2014.5.25
【ルーガ君とメシウマな皆様】
「うー…ん、」
世界会議の半刻前、何時もの様に早めに会議室に入っていた日本は、一人自席で頭を抱えていた。既にまばらに人が入っており、それなりに他方から話し声が聞こえ、彼のうなりに耳を傾ける者は少数だった。
「どうかしましたか、日本?」
そのうちの一人である舞琉は、手元の資料から顔を上げて日本に向き直った。当の本人はその言葉を待ってましたと言わんばかりに舞琉に詰め寄った。
彼女はこのとき、これは長いぞと、人知れず少しばかり後悔をする。
「それが、大問題なんです。」
「はぁ。」
「ルーガ君が……ルーガ君の新刊が夏までに上がらないかも知れません…。」
「「……なっ……!?」」
先ほどまで日本の相談に乗り気ではなかった舞琉は、水を打ったように椅子から立ち上がった。その顔は恐怖に染まり、指先はわずかに戦慄(わなな)いていた。
そしてその舞琉と同時に声を上げた人物……少し遠くの席に腰掛けていたハンガリーは、強烈な目力で日本を射抜く。恐ろしいものを視るような目であるが、端から見たらその眼光こそが恐ろしい。ハンガリーはつかつかとヒールをならして日本のもとへ向かった。
「日本さん、ちゃんと説明して頂戴。
まさか本命の琉攻め本を落とすっていうの!?」
「そうですよ菊!!!
あなた、昨年の大晦日からずっと構想を練っていたじゃありませんか!!」
日本は頭に降り注ぐ腐レンドによる非難に頭を抱え、机上のメモ帳を絶望的に凝視した。
「それはその通りですけども!!!
最近ルーガ君のお家の情勢の関係で一ヶ月も彼の顔を見ていないんですよ!!?
ネタは降らないし彼の顔も見れないし声も聞けない……このままじゃ発狂してしまいます…!!!」
「あらそうだったの、安心して日本さん、ルーガ君の家はもう安定してきているし、今日にでも顔を出してくれるわ。」
「そうですよ菊、元気出してください。琉←日ごちそうさまです。」
「お二人とも励ましは嬉しいのですが鼻からトマトケチャップと言う名の本音がだだ漏れですからせめてしまってください。
沙羅、貴方に関してはもう隠すつもり無いですよね!?」
ルーガを想って頭を抱える日本を見て誰が萎えようか。いいや、寧ろ滾る。そんなポリシーを掲げる二人はテンプレなスマイルを貼付けてハンカチで鼻下を覆った。両者の片手同士はキツく結ばれている。
((琉日おいしい……!!))
「そういえばこの前、ルーガ君の家で会談があった際に遠目に彼を見たのですが、なんとイギリスさんと一緒で…」
「「kwsk」」
「こっそり近寄れば、何やら普段温厚なルーガ君がイギリスさんを言葉攻めして、イギリスさんがすごく押されていました……!!」
舞琉の言葉に日本もハンガリーも身悶え、机に両肘をついて伏せる。どうやら彼らの中のヒットポイントはガリガリと削られたようだ。
「会話は、会話内容は聞けなかったんですか!!」
「ごめんなさい、その顔がすごくサディスティックで、黒琉にヘヴン状態になってました…。けれど【今夜は覚悟しててね?アーサー。】とかですよきっと…!!」
「ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますぅぅぅぅうう!!!!」
一心不乱に白紙のコピー用紙を妄想で埋め尽くす日本と、遠い彼方の琉英を崇拝し始めるハンガリー。そこには日本男児や淑女の姿はなく、ひたすらに萌えを追求するだけの存在と化していた。
そこでハンガリーははっと目を見開くと、真剣な表情で再び二人に向き直った。
「そうよ!私も見たの……!
この間イタリアちゃんに用があって家までいったら、庭先でルーガ君とイタリアちゃんがいたの。
イタリアちゃんにルーガ君が何か言ったら、イタリアちゃんが困った様に顔を真っ赤にさせて……!!
これは知らせなくちゃと思って、写真だけはとっておいたのよ!!!」
「「さすがハンガリーさん!!!抱いてください!!!!」」
彼女が見せた画面の中には、確かに頬や耳を真っ赤にさせたイタリアが映っている。ルーガは後ろ姿だけではあるが、背格好や服装は確かに彼のものと見て間違いない。
「ぐはっ……っ!!!」
「ごぽ…………ハ、ハンガリーさん、後でそのデータくださ……。」
「ええ、ええ!もちろんよ!!!」
まだ始まってもいない世界会議場の一角は、既に萌えの対価として尋常ではない出血量の血溜まりが存在していた。
「どこまで美味しいの、ルーガ君……!!
それでも私の中では琉日が一番素敵です……琉日万歳ッ…!!!」
力尽きた様に膝を折る舞琉は、倒れる瞬間に誰かに支えてもらう。その主を確認すると、そこにはひどく真剣な瞳で笑う台湾がいた。
「それ激しく同意ヨ、舞琉ちゃん。
琉日、琉中、日→→→琉←中(ジレンマ)で次の新刊は決まりネ!!!」
がしっ
「そこに元カレ香港と振り向いてほしい韓国が混ざってくるのね、そういう事ね…!!!!」
「舞琉ちゃん…!!!」
「台湾ちゃんっ……!!!!!」
互いに抱擁し合う舞琉と台湾を忙しなくメモり写真を撮るハンガリーと日本。もはや彼らに見境というものは存在しないようだ。
「私がそのCP内に存在するのが少々不服ですが……すごく美味しいです!!
ルーガ君になら突っ込まれても良いですむしろつ「それ以上言ったら張っ倒すよ、日本?」る、ルーガ君………!!!」
会議場の扉に寄りかかっていたのは、ひどく不機嫌な顔でにっこり微笑むルーガ。しかしその行為は今の腐レンズには逆効果であった。
一つ補足しておくと、ルーガは連日重なった多忙で眠れない日々を乗り越えてこの世界会議の当日を迎えているため、目は細められ、大きな話し声が頭に響いてイライラしていると言った塩梅である。しかし彼女らの目には都合のいい高性能フィルターが駆けられており、鬼畜攻めなルーガ君に攻められる日本さん美味しい、と悶つく。日本本人も長期間ルーガに会えていなかったことからその瞳に涙を浮かべていた。
「ルーガ君…!!あなたと会えなくてどれほど苦しかったか……!!
罵倒?ええ、ぜひどんどん罵倒してください我々の業界ではご褒美ですとも!!!」
「え?なに、どうしたの…?後声のボリューム押さえてほしいな徹夜に響くから…。」
先ほどまで声を張っていた女連中は写真を撮り、動画を撮り、琉日ネタをメモりと、黄色い奇声を上げるどころか、黙りながらも高速でそれらの作業をこなしていた。腐女子と言うのは抜かりの無い生き物である。
「日本の家に泊まりに行ったルーガは二人和やかな雰囲気で過ごしていたが夜も更けると日本は連日逢えなかった分の箍(たが)が外れた様にルーガを求めそしてルーガは浴衣を少し緩めて日本を誘う縁側に響く甘い声と言葉攻め【そんなに大きな声を上げてると、隣の人に菊のエッチな声が聞こえちゃうよ?】展開からの鬼畜攻めはいきたぁぁああぁぁああ!!!!!!!!」
「素敵よ舞琉ちゃん、ヌけるわ、それ、いいわ……!!!」
「ワタシ手伝うヨその本寧ろ手伝わせてネ!!!」
「だから、頭に響くって言ってるでしょ。
舞琉、ちょっと黙っててくれない?」
人差し指を口元に持ってきて、し、と合図すると、寝不足も相まっていつも好青年なルーガの攻め気が外に出る。舞琉は顔を真っ赤にさせてはいと小さくうなずき、それ以降は脳内でイケナイ妄想を繰り広げるのを徹してた。
周囲の人間は当然【琉舞ktkr!!!!】とガッツポーズを見せる訳であるが、それを遠目で眺めていた世界会議のメンバーは今日も平和だなと密かに思うのであった。
ルーガ君とメシウマな皆様
--------------------
大変お待たせいたしました、紅火さんに捧げます……!!
もう何も言うまい。
キリ番ヒットありがとうございました、これからもよろしくお願いします^^
2014.5.25