キリ番御礼1【紅火様】
【小春日和に】
昼休みも終を告げる鐘がなろうとしていた。
オルフィスは、フェリシアーノと共に「散歩してきます」と言って帰ってこなかった沙羅を探して中庭まで来ていた。
ここW学園の敷地面積は、全校生徒数に見合わず広い。特に校舎内にはテラスや温室栽培ができる施設も完備されており、とても10分足らずでは校舎内を回りきれはしないだろう。
「ヴェ〜、沙羅、どこまで行ったんだろう…。」
「もしかしたらすれ違いに教室戻っちゃったかな?」
小春日和の朗らかな日差しに当てられ、2人はのんきに中庭を歩いていた。
目の前を広がる芝生は普段よりも暖かい色で二人を迎え、お弁当を食べたあとということもあり午後の授業さえなかったら昼寝できそうな空間が出来上がっている。
「ん……あれ、ギルベルトじゃない?」
「ぁ、本当だ。行ってみる?」
「うん。お〜い、ギルベルト〜!!」
広い中庭の奥には、木陰で木を背に座り込んでいるギルベルトを発見した。
遠目からでは人影程度にしか思わないが、木の葉の隙間から降り注ぐ太陽の陽を浴びて銀色に光る髪は一目瞭然である。
ギルベルトは左手をあげ、フェリシアーノとオルフィスに挨拶をすると、二人が近寄ってくるのを待った。そしてその間に昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
「もう授業始まっちゃうよ、ギルベルト。
あんまりサボるとルートに怒られるよ?」
「おー、もうそんな時間か……。」
さくさくと芝を踏みしめながら近くまで来ると、よく見たらギルベルトのすぐ横に人がで寝転んでいた。
「わ、沙羅!こんなところにいたんだ…。」
膝上数センチに上げられたスカートを気にする様子もなくすやすやと気持ちよく横になっていたのは、まさに探していたその人物であった。
整った顔立ちは瞳を閉じた今は傍目から見ても美人なのだが、口を開くとそうはいかない。大の字に寝転がる姿に呆れるのは仲間内では見慣れた光景でもあった。
「いつから寝てたの?」
「あー、数十分前。俺が昼寝に誘った。」
というのは、沙羅は教室で昼食を食べ、散歩してくると言って恐らくすぐに中庭で昼寝したことになる。その寝付きの良さはフェリシアーノも感心するほどである。
「そうだったんだ〜……それにしても、よく寝てるね。
ヴェ〜、起こすのちょっと可哀想だし、俺たちもサボっちゃおうか。
俺もなんか……眠い…。」
「えぇっ!?ちょ、フェリ!?」
沙羅のすぐ横にすとん、と腰掛け、思い切って寝転がる。少しだけ香る土の匂いと暖かい陽の光に、フェリシアーノは瞳を閉じてまどろんだ。
「ほらほら、オルフィスも!
次は総合だし、授業に遅れるなんてことないから大丈夫だよ〜。」
「えぇ、でも…!」
「ケセセ、大丈夫だろ少しぐらい。
俺も、もう一眠りすっか……ふぁ…。」
木陰の芝の上でオルフィス以外の人間が寝転がる中、オルフィスも今更一人で遅れて教室に入る勇気もなく、腹を括ってフェリシアーノの横に寝転がった。
「ん〜!今日は本当にシエスタ日和だぁ〜。
ルートたちも連れてくれば良かったねぇ。」
一度寝るとなると後腐れがなくなったオルフィスは、教室移動やら次の時間の準備やらでざわざわと騒ぐ喧騒の音が遠い中庭で瞳をとじながらそうだねぇ、とフェリシアーノに肯定した。
「どうせ俺達の学年皆総合だし…あ、でもギルベルトがいたらルートに怒られるんじゃない?」
「げ。そりゃ勘弁だぜ…今日の飯当番あいつなんだよな…。」
現実的な体罰だなぁと苦笑いを浮かべるフェリシアーノとオルフィス。本礼が鳴り5限が始まると、些細などうでもいい会話も止み、フェリシアーノが寝息をたて始めたのを合図に全員が夢の世界へと旅立った。
*
「おやおや……沙羅がなかなか帰ってこないと思ったら皆さん揃ってこんなところに…。」
「全く……緊張感の欠けたやつらだ。」
菊は同じクラスの沙羅が、ルートヴィッヒは同じクラスのフェリシアーノとオルフィスがなかなか帰らないのを不思議に思い二人して5限が終了した後、フェリシアーノとオルフィス同様こうして校内を練り歩いていた。
中庭で気持ちよさそうに寝転がる五人を見て、少しでも心配した自分がバカらしく思える。
「それにしても…よく眠っておられますねぇ。
……ねぇ、ルートヴィッヒさん。」
「なんだ。」
他人に流されてばかりの菊は珍しく、ルートヴィッヒにらしくない提案をする。
「私たちも、このまま6限…サボってしまいましょうか。」
その言葉に、いつものようにはあ…と重いため息を漏らすルートヴィッヒだったが、規則がすべての彼にしてはひどく珍しくその提案を肯定した。
「おやおや……歩くルールブックのルートヴィッヒさんであっても、この天候と幸せそうな寝顔には敵いませんか。」
「まあ、大方兄さんが沙羅を誘って伝染していったのだろう。
今日ぐらいは、な。」
くすくすと冗談を口にする菊は、オルフィスの隣に腰掛ける。観念したルートヴィッヒも、ギルベルトの横に寝そべった。そうして二人目を閉じて、6限開始の合図を聞くと、自分もまた彼らと同様に眠りの中へと身を投じたのであった。
小春日和に
「……ふふ、あらあら……。」
「……?
ヘーデルヴァーリさん、どうなされました?」
「しー……。」
「まぁ……ふふ、気持ちよさそう。」
「はいパシャっと…。
これは卒業アルバムにでも載せようかしら。」
「楽しみですわね。」
「そうね、楽しみだわ。」
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大変遅くなってしまい、申し訳ございません!
沙羅さん、連載中で寝てるシーンが多いので何故かこうなりました。
紅火さん、これからもsign共々よろしくお願いします!
【小春日和に】
昼休みも終を告げる鐘がなろうとしていた。
オルフィスは、フェリシアーノと共に「散歩してきます」と言って帰ってこなかった沙羅を探して中庭まで来ていた。
ここW学園の敷地面積は、全校生徒数に見合わず広い。特に校舎内にはテラスや温室栽培ができる施設も完備されており、とても10分足らずでは校舎内を回りきれはしないだろう。
「ヴェ〜、沙羅、どこまで行ったんだろう…。」
「もしかしたらすれ違いに教室戻っちゃったかな?」
小春日和の朗らかな日差しに当てられ、2人はのんきに中庭を歩いていた。
目の前を広がる芝生は普段よりも暖かい色で二人を迎え、お弁当を食べたあとということもあり午後の授業さえなかったら昼寝できそうな空間が出来上がっている。
「ん……あれ、ギルベルトじゃない?」
「ぁ、本当だ。行ってみる?」
「うん。お〜い、ギルベルト〜!!」
広い中庭の奥には、木陰で木を背に座り込んでいるギルベルトを発見した。
遠目からでは人影程度にしか思わないが、木の葉の隙間から降り注ぐ太陽の陽を浴びて銀色に光る髪は一目瞭然である。
ギルベルトは左手をあげ、フェリシアーノとオルフィスに挨拶をすると、二人が近寄ってくるのを待った。そしてその間に昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
「もう授業始まっちゃうよ、ギルベルト。
あんまりサボるとルートに怒られるよ?」
「おー、もうそんな時間か……。」
さくさくと芝を踏みしめながら近くまで来ると、よく見たらギルベルトのすぐ横に人がで寝転んでいた。
「わ、沙羅!こんなところにいたんだ…。」
膝上数センチに上げられたスカートを気にする様子もなくすやすやと気持ちよく横になっていたのは、まさに探していたその人物であった。
整った顔立ちは瞳を閉じた今は傍目から見ても美人なのだが、口を開くとそうはいかない。大の字に寝転がる姿に呆れるのは仲間内では見慣れた光景でもあった。
「いつから寝てたの?」
「あー、数十分前。俺が昼寝に誘った。」
というのは、沙羅は教室で昼食を食べ、散歩してくると言って恐らくすぐに中庭で昼寝したことになる。その寝付きの良さはフェリシアーノも感心するほどである。
「そうだったんだ〜……それにしても、よく寝てるね。
ヴェ〜、起こすのちょっと可哀想だし、俺たちもサボっちゃおうか。
俺もなんか……眠い…。」
「えぇっ!?ちょ、フェリ!?」
沙羅のすぐ横にすとん、と腰掛け、思い切って寝転がる。少しだけ香る土の匂いと暖かい陽の光に、フェリシアーノは瞳を閉じてまどろんだ。
「ほらほら、オルフィスも!
次は総合だし、授業に遅れるなんてことないから大丈夫だよ〜。」
「えぇ、でも…!」
「ケセセ、大丈夫だろ少しぐらい。
俺も、もう一眠りすっか……ふぁ…。」
木陰の芝の上でオルフィス以外の人間が寝転がる中、オルフィスも今更一人で遅れて教室に入る勇気もなく、腹を括ってフェリシアーノの横に寝転がった。
「ん〜!今日は本当にシエスタ日和だぁ〜。
ルートたちも連れてくれば良かったねぇ。」
一度寝るとなると後腐れがなくなったオルフィスは、教室移動やら次の時間の準備やらでざわざわと騒ぐ喧騒の音が遠い中庭で瞳をとじながらそうだねぇ、とフェリシアーノに肯定した。
「どうせ俺達の学年皆総合だし…あ、でもギルベルトがいたらルートに怒られるんじゃない?」
「げ。そりゃ勘弁だぜ…今日の飯当番あいつなんだよな…。」
現実的な体罰だなぁと苦笑いを浮かべるフェリシアーノとオルフィス。本礼が鳴り5限が始まると、些細などうでもいい会話も止み、フェリシアーノが寝息をたて始めたのを合図に全員が夢の世界へと旅立った。
*
「おやおや……沙羅がなかなか帰ってこないと思ったら皆さん揃ってこんなところに…。」
「全く……緊張感の欠けたやつらだ。」
菊は同じクラスの沙羅が、ルートヴィッヒは同じクラスのフェリシアーノとオルフィスがなかなか帰らないのを不思議に思い二人して5限が終了した後、フェリシアーノとオルフィス同様こうして校内を練り歩いていた。
中庭で気持ちよさそうに寝転がる五人を見て、少しでも心配した自分がバカらしく思える。
「それにしても…よく眠っておられますねぇ。
……ねぇ、ルートヴィッヒさん。」
「なんだ。」
他人に流されてばかりの菊は珍しく、ルートヴィッヒにらしくない提案をする。
「私たちも、このまま6限…サボってしまいましょうか。」
その言葉に、いつものようにはあ…と重いため息を漏らすルートヴィッヒだったが、規則がすべての彼にしてはひどく珍しくその提案を肯定した。
「おやおや……歩くルールブックのルートヴィッヒさんであっても、この天候と幸せそうな寝顔には敵いませんか。」
「まあ、大方兄さんが沙羅を誘って伝染していったのだろう。
今日ぐらいは、な。」
くすくすと冗談を口にする菊は、オルフィスの隣に腰掛ける。観念したルートヴィッヒも、ギルベルトの横に寝そべった。そうして二人目を閉じて、6限開始の合図を聞くと、自分もまた彼らと同様に眠りの中へと身を投じたのであった。
小春日和に
「……ふふ、あらあら……。」
「……?
ヘーデルヴァーリさん、どうなされました?」
「しー……。」
「まぁ……ふふ、気持ちよさそう。」
「はいパシャっと…。
これは卒業アルバムにでも載せようかしら。」
「楽しみですわね。」
「そうね、楽しみだわ。」
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大変遅くなってしまい、申し訳ございません!
沙羅さん、連載中で寝てるシーンが多いので何故かこうなりました。
紅火さん、これからもsign共々よろしくお願いします!