贈り物 | ナノ
   壱万打御礼【刹那様】
【白馬の王子様】





舞台は英国



ウィンブルドンの招待された私たち中学生



テニスの聖地で試合ができると誰もが喜んでいた矢先、



事件は私たちに襲い掛かった



"クラーク"という名のテニス集団



彼らはプレイヤー達を襲い潰していく



元クラークのメンバーだったというシウと共に私の彼氏…周助は彼らを倒しにいく事になってしまった



木『なんで私があなたと組まないといけないのですか』



「仕方ないじゃない。ピンチに賭けつけてあげたんだから感謝しなさい」



そしてその事実を大石から聞いた私は制止も聞かないでここまできてしまったのだ



勿論、周助のために



なのに入口で木手が試合をしていたためここで足止めを食らってしまった



「私は周助を助けに行かないといけないのよ。さっさと終わらせましょう」



木『いわれなくてもわかってます!』



こいつに背中をあずけるのはしゃくだけど、今は仕方ない



『はっ、そんな軟弱な腕で俺らを倒せんのか!?』



「喋らないでくれないかしら。寒気がする」



『なっ!テメッ』



木『相変わらず可愛げのない…』



「周助以外なら別に可愛くみられなくて結構よ」



この試合早く決着がつく予定だった



しかしコートの条件があまりに悪く、また木手との息も合わないため試合は難航



ボールを当てられ、追いつめられてしまった



「ちょっと、足踏まないでよ」



木『あなたこそ、殴らないでくださいよ』



『仲間割れか〜?』



あー、もう



こうなったらここは試合を放棄して周助の元へ進もうか…と考えたとき



どこからか馬の蹄のような音がした



「……?」



木『いかがしました?』



「……なんか来る」



その時閉まりかけた橋の隙間から白い馬にまたがった周助があらわれた…



……思考停止



不『お待たせ、沙羅』



「……周助」



木『全く…おいしいところ全部もっていきましたね』



不『君もういいよ。ここからは僕と沙羅でいくから』



木『はいはい、まだ馬に蹴られて死にたくはないですからね。退散しますよ』



木手はコートを去った



不『ごめんね遅くなって』



「…ううん。周助、かっこよすぎるから」



不『ほれなおした?』



「うん」



この場に似つかわしくない空気を放っているんだろうな…と思いつつ相手に視線を向ける



「…今までの借り、全部返してあげる」



不『僕の沙羅を随分可愛がってくれたみたいだね?…ふふ、どうしてあげようか』



周助から発するオーラが…見なかったとことにしよう



「『いくよ』」



『『!!』』





そしてあっけなく試合は終了



不『沙羅、怪我みせて?』



「大丈夫、大したことないから」



不『だめ、見せて』



「…う」



笑っているのに目が笑っていない…



こういうときは逆らわないのが一番だろう



不『…痣になってる。やっぱりあいつらもう一度しめて「いや、大丈夫だから、ね?」…』



これ以上は彼らのテニスを奪うことになりそうだったので止めておく



不『……』



「……?っ!!」



……い、今!



「なっ…」



私の右手をもったまま、なんと彼が指に口づけた



不『消毒、まったく…無茶しないで』



なんでもないように言う周助だったけど、私はそれどころではない



「…」



不『…ふふ、沙羅顔真っ赤だよ?』



「だ、誰のせいで!」



不『僕?』



確信犯は綺麗な笑顔でこっちを見た



「……もう、王子すぎるよ周助」



不『じゃあさしずめ白馬の王子様ってところかな?』



さっきの白馬がよってくる



周助が頭をなでると気持ちよさそうに顔をこすりつけていた



「ふふっ、そうだね」



不『それじゃあみんなの所に行こうか…』



「うん」



すると私のからだがふわっと浮いた



「え!?」



不『行こうか、お姫様?』



馬に跨らせられ、周助が後ろに乗ったのがわかる



どうやら持ち上げてくれたらしい



「……ばか」



おそらく耳まで赤いであろう顔をうつむかせた



どうせばれているんだろうけど



不『ふふ、』



機嫌のいい彼とともにみんなのところへ行ったころには全ておわっていて、



迎えに来た仲間におちょくられたのは言うまでもない