―――気づいたら、オレは机を蹴り飛ばしていた。
オレの前の席…ひょうたに当たったみたいだが、そんなことは知らない。
「ウッスくん…?」
「うるせえ!……やってられっか」
そう吐き捨てて出ていこうとするとアンジュが駆け寄って来た。
「…あ?」
「…」
「なんだよ、何か文句あるのか?」
「文句はない。…けど、謝らないの?前の席の子に」
ギロッとひょうたを睨む。思いの外強く蹴った様で、背中を押さえながら涙目で少し震えていた。
「はあ?何でオレ様が謝らなきゃいけねえんだよ」
「何でって…酷いことしたからでしょう?」
「酷いこと?何が酷いんだよ」
「な、…」
信じられない、という目で見据えられた。
『何が』なんてな。確信犯だ。
酷いこととはわかってる、でもオレ様は謝りはしない。
なぜって?
オレ様は、ウッス様だからな。
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