おれ達、どんな船長でも…!その後の1


 あの日から船長達に監視をつけ始めたおれ達。言いだしたのはおれだから、厄介な時間帯を引き受けるのも当然のことだと思う。
 たとえばそう、3時のおやつとか――



「船長?」
「なんだ」
「私、ケーキ自分で食べられるよ?」
「おれがお前に食わせてやりたいんだ。そしてその口のまわりに付いた生クリームをおれが舐め」
「はいストップーーーー!!」
「……またか」
「またかじゃない!」
「ペンギンも大変だねー」
「……ああ、そうだな。うん。大変。……お前も、おやつはおれと一緒に食べるって約束にしただろ」
「ゴメン、ケーキがあんまりにも美味しそうだったから」

 ああ、全然反省の色がないっていうのに、ケーキを頬張るお前はほんとにカワイイと思うよ。頼むから、船長の前ではその可愛さを仕舞ってくれ。

「ペンギン」
「なんすか」
「なんでお前がこいつと一緒におやつを食べる約束をしてるんだ。船長のおれを差し置いて。殺されたいのか」
「いやいやいやいや! なんでって、船長と2人っきりにしたら危ないからでしょ!」
「ペンギンペンギン」
「ん?」
「あーん」
「んぐッ」

 甘っ!! つーかケーキとフォークが結構喉の奥まで来てんだけど、これもうちょっと奥だったらおれ死ぬんじゃね?

「美味しいでしょ?」
「ん、ああ美味いけど、お前おれを殺す気か」
「死にたいならおれが殺してやろうか。なァペンギン」

 あああああああああ、もしかしなくてもおれって今大ピンチ!?

「ペンギン」
「ヒィッ」
「船長のおれを差し置いて『あーん』してもらうってのはどういうことだ。お前らいつからそんな仲になったんだ。殺されたいか」
「いいいいや、おれ達はただのクルー同士で」
「ただのクルー同士が『あーん』をすると思うか。船長のおれでさえしてもらったこと無いんだぞ。殺されたいか」
「そんな船長見たくないんで! つーか殺すとかやめて!」
「おれだってお前らに見られたいとは思わねェよ。あーゆーのは2人っきりでするのが一番いいんだ。その後いろいろするのに都合が良いからな。まあ、こいつとだったらいつどこでしても良いが。……で、ペンギン」
「な、なんすか」
「お前に30秒やるから遺書でも書いてこい」
「えっ、なんで!!」
「お前、おれが許したと思ってるのか」
「どんだけ『あーん』して欲しいんだあんた!」
「そうか、遺書は必要ないか」
「ちょ、ちょ、船長ストップーーーーー!!」



 正直、毎日がしんどいです。


2010.1106~1128
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