「ミョウジ、今日のラッキーアイテムはつけまつげなのだが、持っているか?」
真ちゃんのラッキーアイテム係になってかなりの月日が経ったわけだが、私は真ちゃんに何の見返りも貰っていないことに気付いたのは遅いけれどつい最近のことだった。別に何かモノが欲しい、と言うわけじゃないんだけれど、どことなく不公平な気がして今日はレンタルするのを渋ってみることに決めた。真ちゃんが私に借りに来るものだからだろうけど、美容関係のものが多いなぁ、なんて思う。
「…そう」
「?…持ってないのか?」
「…うん。多分持ってない」
嘘だ、確実にポーチの中に入ってる。自分で言うのもなんだけれど、私は嘘をつくのが下手だなぁとつくづく思った。私が持っていない、と言った声色で解ったのか真ちゃんの眉間に皺がいつもより寄っていた。
「嘘、だろう。早くするのだよ」
「…持ってないもん」
「はぁ、この飴をやるから早く出すのだよ」
ごそごそと制服のポケットから取り出した飴を手のひらに載せて私に見せてみせる。思わず手を真ちゃんの手に重ねてしまったけれど、意識を強く保って真ちゃんに宣言した。
「…飴一つで買収される私じゃないぞ!」
「だったら早くその手を俺の手から離すのだよ!」
まるで子ども扱い
「和成ー真ちゃんに飴もらったー」
「おぉ、よかったなー!…それ何味?」
「え?…しるこ味!?」
「ギャハハ!何それ、めっちゃまずそう!」