これは地獄だろうか。炎天下の中、スパルタ指導で有名なコロネロに体力をつけるという名目の下、やはり厳しくしごかれている私。筋トレと走り込みを何十セットやったことか。それでもコロネロは物足りないらしい。私がこんな状況に陥ってしまった要因は昨日にある。 ボスに休日をもらいショッピングに出掛けていたときのことだった。がっしりとした体つきの若い男にナンパされていたところをコロネロに助けてもらったのだ。昼間の街中で銃を相手に突きつける訳にもいかず困っている私に気づいたコロネロはかなりの体格差があるにも関わらず、相手の男を一撃で気絶させた。 「大丈夫か、コラ」 「ありがとう。さすがに街中で銃は使えなくて」 「他に方法あるだろ」 「リボーンに教えてもらってやっと銃使えるようになったところ!体術とか、私にはまだ早いもの。第一体力ないし」 「俺が教えてやるぜ、コラ」 「銃が使えれば充分だよ」 「銃なんかよりも数倍役に立つこと教えてやる」 「い、いいよ」 「遠慮しなくていいぜ。そうと決まれば明日から特訓だ、コラ!」 …という訳でかれこれ5時間ほど熱血指導を受けている。今日だけでここ数年分の運動をしているんじゃないかと思うぐらいに。普段運動をしていない訳ではないが、普通に任務をこなしていてもこんなに筋肉は使わない。少し気持ちが緩んでくるとファルコに頭をつつかれ、コロネロに檄を飛ばされる。黙っていれば容姿端麗な好青年なのに今ではもはや鬼にしか見えない。 「コロネロ、ちょっと休憩させて、」 「何言ってんだ、コラ!」 「でも冗談抜きで、しんどいから」 「日頃訓練を怠っているからだろ」 「もう本当、むり、」 「、おい!」 疲労がピークに達すると同時に目の前が真っ白になった。遠くでコロネロの声が聞こえて、私のこと呼んでるのに返事が出来なくて。ふわふわする。ああそういえば寝坊して急いでたから朝食食べれなかったんだっけ。まあ朝食のせいだけではないだろう。確実に。帰りたい。 「気分はどうだ、コラ」 「……え?」 「倒れるほど気分が悪いなら言え」 「、言ったよ」 「…悪かった」 「てか何で膝枕?!」 「病人が騒ぐな、コラ」 目を開けるとコロネロの顔があって、自分が膝枕されていると気づくまで数秒かからなかった。完全に意識が復活するまで時間がかかったけれど。荒々しい口調とは裏腹に心配そうに見つめていたコロネロの金髪が日の光に透けてとても綺麗で見とれていると手で私の目を覆ってきた。 「凝視するな」 「コロネロの髪、綺麗だったから」 「…恥ずかしいこと言うな、コラ!」 「これぐらいで照れないでよ」 「…膝枕しないぞ、コラ」 「…手、どけて」 「何だ」 「心配させてごめん」 「俺の方こそ悪かった」 「ううん、銃だけじゃ限界あるし、鍛えないとって思ってたから。もう少し休んだら、また特訓してよ」 「…」 上半身を起こしてコロネロと向き合う。こうして見るとコロネロって目まで綺麗だ。 「悪かった」 「そんなに謝らなくていいって。私が体力なさすぎるだけだし」 「そうじゃない」 「何が?」 「お前がリボーンに銃の使い方教わったって聞いて焦ってたんだ。俺よりあいつと過ごした時間の方が長いんだってわかると悔しくて。昔から何かと競い合ってたからつい、」 「そう、」 「本当に、悪かった」 「、私は誘われて嬉しかったのに。そりゃあ特訓は鬼畜で泣きたくなったけど、コロネロと一緒にいれるんだから」 最初は驚いた顔をして時が止まったように私を見ていたが徐々に顔を近づけてきておでこにキスを落とした。 「好きだぜ、コラ」 「…私も」 「くだらない嫉妬して悪かったな」 「杞憂だよ、もう」 そう言って今度はコロネロのおでこに仕返しをすると唇に触れるだけのキスしてきた。閉じていた目を開けてみるとコロネロも目を開いていて、思わずお互い笑ってしまった。 「強くならなきゃ」 「俺が守ってやるから大丈夫だ、コラ」 「こういうことはサラッと言えるのにね」 「?」 ふやけた純情論 title by 知絵梨 ×
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