はめられた。
気絶させて運ぶだなんてスクアーロも人が悪い。大人しくしておこうと思ったのに。でも気がつくとベッドで隣にザンザスがいたら、焦らない人はいないだろう。現に私の心臓の鼓動は自分でも聞こえる程だ。せめてもの救いはザンザスはまだ寝ていて、私も彼も服を着ているということ。少しだけ、ホッとした。

寝ているザンザスの顔を見ていると今までのことが自然と思い出された。あれ、走馬灯?そういえばお互い言葉で気持ちを伝えることが下手すぎて、まともに話をしたことすらない。何のために買われたたかと聞かれたら、ただの女避けとしか言えないだろう。特別な存在か?答えは激しくノー。だったらなぜこんな気持ちになるのか。彼がみんなの前で見せないような、寂しそうな孤独を知っている眼を見せるから。私は特別な存在なのかもしれないと勘違いしていただけ。自惚れていた。

「カス鮫にどこまで聞いた」

寝転んだままベッドで向き合う。

「ザンザスが婚約するから今日で仕事は終わりってところまで」
「そうか」
「質問してもいい?」
「何だ」
「私ザンザスの近くにいすぎたじゃない?だから、死んだ方がいいのかなー…って思ったんだけど」
「質問はそれだけか」
「うん、一応」
「俺はお前に惚れていた」
「……ほんと?」
「そうでなかったら身元不明で名前のないような奴なんか買わねぇ」
「だよ、ね」
「殺しはしねぇ」
「え?」
「その代わり二度と俺の前に現れないことを約束しろ」
「!」
「聞いてんのか」
「、勿論!」

急に抱き寄せられたけど現実味がなくて落ち着かなかった。ザンザスなりの優しさが嬉しかった。今後彼に近づいたら危ないに決まっている。でも。私はこれからどうする?ボンゴレの関わったらザンザスに関わってるのと同じことだし、かといって仕事しないと貯蓄だけじゃ生きていけないし、あれこれ考えているとザンザスと目があった。私からキスすると激しく、深い口づけを求めてきたのでそれに答える。これが最後、なんだ。

深夜彼が寝ているのを確認すると急いで服を着て、逃げるように外に出た。













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