リボーンは抱き締められることが好きだ。抱き締められると相手の存在を確認できるから安心するらしい。正論だと思う。今でも私の胸に耳をあて、確かめるように鼓動を聞いている。その行動がいとおしくてぎゅっと抱き締めると、殺す気か、ともがいたので大人しくすることにした。ふわふわした甘い時間。ベッドに裸の男女なんてまるで恋人同士のようで私は大好きだけど、この関係は一体何なのだろうか。あんな会話をしたものの、彼の言葉をいまいち信用できない自分がいる。最低だとは思うけど、正直今まで何度も同じような言葉を囁かれ、それと同じ回数裏切られた私にとってはほとんど意味を持たず、もっと言えばトラウマのような言葉でしかない。リボーンが裏切るなんて考えられないし考えたくもないけど、もしものことがあったらと思うと信用するという行為を拒絶してしまう。どんなに固い約束をしたって信用できない私は人より損していると思う。

「こっち向け」

そう言ってリボーンは目線を合わせ私の顔を両手で挟み、無理やり自分に向かせた。本当に、この人は。

「不安そうな顔するんじゃねぇ」
「だって」
「何だ」
「…何でもない」

ふぅ、とため息をつくリボーン。私って本当に面倒な女だって自分でも思う。今までの女同様に扱ってくれればいいのに。そうしたら私だって割りきれる。中途半端な優しさは痛い。

「お前は俺の女だ」
「愛人なんて結構です」
「昨日はもっと素直だったじゃねぇか」
「考え直してみた。私のような面倒な女よりもっと従順で綺麗な人がいるでしょう」
「俺がいつ面倒だと言った。少しは信用しろ」
「…ひとまず保留ね、考えさせて」

少し不満そうに頷いて仰向けになった。今を楽しむ、か。確かにその通りだよ。昨日と態度が違うのも承知してる。それでも私は簡単に頷くことは出来ない。

「情緒不安定でごめんね」
「俺を振り回す女なんて初めてだ」
「…ごめん」
「素直すぎて気持ち悪い」
「ごめんね、少し時間をちょうだい」
「ああ」

ありがとね、とリボーンに寄り添うと抱き締めてくれた。いざという時、彼は優しいからなかなか離れられない。厚い胸板に程よくついた筋肉。改めてリボーンは男なんだと意識する。一定のリズムを刻む鼓動を聴くと安心した。

「平和だね」
「今晩また任務が入ってる」
「あら物騒」
「お陰様で」
「じゃあ夜まではフリー?」
「…敵わねぇ」

グッと引き寄せられて口付けられる。最初は軽く、徐々に深く。溶けてしまいそうになる。息が荒いのはお互い相手に夢中な証拠。スプリングが軋み、昼間のベッドに沈んでいった。











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