「平気です」 「足が腫れているじゃありませんか。立てます?」 「え?」 ホテルマンのふりをして出て来るなんて本当質が悪い。でもそれなりに信頼している人と会えて本当によかった。 「骸、久しぶり」 「アルコバレーノも酷いことをしますね」 「心にもないこと言わないで」 「つれない人だ」 最初は骸が何を考えているのか全くわからなかった。幾度となく話をしてきたけれど、それでもまだ私の中では不思議な奴だ。一つ言えることは、この人に期待してはいけないこと。 「何をやらかしたんですか」 「思い当たらない」 「その様子からすると彼は相当機嫌が悪いようだ」 「そう。だから早く帰らないと」 「もう遅いですよ」 骸を隔てて振り返るとリボーンが近付いてきていた。今彼とまともに話が出来るのだろうか。でも逃げたところでこの状況を変えることは出来ないはず。どうして私はその場の勢いで、後悔するような態度ばかり取ってしまうんだろう。 「逃げますか?」 「逃げ切れる訳がないよ」 「あなた一人逃げさせてあげるくらいの力はありますよ」 「え?」 「有幻覚でもそれぐらいできます」 「でも、」 「ええ、それが正しいでしょう。この状況を変えたいならあなたは逃げるべきではない」 「うん、」 「行きなさい」 優しいんだか優しくないんだか、わたしの為を思っているのかそうでないのかもわからない。でも言っていることは大概正しい何故ならリボーンとずっとこの状態が続くのもまずい。何がって、いろいろと。すっと立ち上がると足首に激痛が走ったけど、それでもリボーンを見据えた。彼は何を悟ったか有無を言わさずわたしを横抱きにした。わたしも大人しくそれに従った。 → |
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