リボーンが滞在しているというホテルは私がいつもザンザスに用意してもらっているホテル並に豪華だった。タクシーから降りると外は予想外に寒くて、ドレスのままで来た自分を呪いたくなった。フロントで部屋を尋ねると案外すんなり教えてもらえて、何事もなくスムーズに部屋の前まで辿り着いてしまった。

(どうしよう)

連絡なしに来たのはまずかったかな。というかこんな時間帯にホテルにいるんだろうか。あと、心の準備がまだ…
部屋の前で頭を抱えているといきなりドアが開いた。

「俺の部屋の前で何をしている」

ピ、ピストルをかまえている…!やっぱり来るんじゃなかった!ごめんなさい!と走るとリボーンは追いかけてきた。

「、待て」
「ごめんなさい!」
「逃げんな!」
「大人しく帰るから、!」

ガシッと手首を掴まれて足早に部屋へと連れて行かれる。歩幅が全く合わなくて何度も転んだ。それでも歩みを止めない彼に恐怖すら感じる。こんなリボーンは初めてだ。震えが止まらない。
部屋のドアが激しく開けられ、激しく閉められる。それが今の彼の心情を表しているようで、尚更怖かった。リビングに来たところでやっと立ち止まった、と思うときつく抱き締められた。

「どこで何をしてた」
「え、仕事?」
「今日の俺は気がみじけぇんだ。はっきり答えろ。どこで、何をしてた」
「ずっと、いつも通り、ヴァリアーで仕事してたよ。何をそんなに怒ってんのリボーン、私に当たらないでよ。足、痛いし」

涙が止まらない。きつく抱き締めているリボーンの腕を精一杯押し返して抜け出すと、力が抜けて床に座り込んでしまった。足が痛いし、心も痛い。こうなることはわかっていたけれど、あまりにも辛い。

「こんなリボーン、嫌い。ひどい」
「…」
「もう帰る」
「悪かった」
「知らない」

捻挫した足に鞭打ってドアに向かって歩き出した。彼は私を見つめている。なんか、痩せた?

「どうしたの、今日のリボーンほんとに変」

捨て台詞のように言葉を残して部屋を出た。思っていた以上に足は痛くて、歩くといちいち足に響く。むしゃくしゃしてはいていたヒールを投げた。床に投げられたヒールは寂しそうに佇んでいる。本当に何してるんだろう、私。仲直りしようとしたくせに相手を怒らせて、和解どころか溝は深まる一方だ。怪我まで作っておいて何も成果を挙げず帰ることになるとはあまりに情けなく、自己嫌悪に陥る。リボーンの部屋の前の廊下を少し進んだところで足に限界を感じ座り込んでいると、背後から声がした。

「大丈夫ですか?」










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