バーに着くと二、三人先客がいた。座る場所を探してキョロキョロと辺りを見回していると、見覚えのある金髪が目に入った。

「ディーノ…?」

私の声に即座に反応して目を大きくすると、こっちを目掛けて走ってきた。

「お前…!」
「え?」
「携帯、連絡つかないし」
「あ…壊れたから」
「どこに行ったかわからないってリボーンが心配してた」
「…」
「俺もすっごい心配した」

とにかく無事でよかったよ、と涙目で私を抱き締めてくるディーノを大袈裟だよと言って抱き締め返した。携帯が壊れて連絡がつかなくなることなんて今まで何度もあったのに。とりあえず座ってお酒を頼んだ。

「久しぶりね」
「ああ、そうだな」
「相変わらず綺麗な髪」
「そうか?」
「うん、かっこいいよ」
「お前の髪のほうが綺麗だよ」

そんなことないよ、と髪を梳くとディーノは私の手を引き寄せて胸におさめた。

「痩せたな」
「ディーノが成長したんだよ」
「お前ちっさくなった気がする」
「えー」
「でもかわいい」
「ディーノ酔ってる」

ふふ、と笑うと全力で否定してくるけどそんなに赤い顔じゃ説得力がない。私の胸に顔を埋めてきたので頭を撫でてあげた。

「リボーンに会ってやってくれ」
「んーどうしよう」
「あいつ元気ないから」
「そんなの嘘」
「本当だって。お前のことも心配だけどリボーンも心配なんだ」
「…」
「話してやってくれよ」
「私と話したところで、何も変わらないと思うけど、」
「いいから。これ、今あいつがいる場所」
「…うん」
「そんな不安そうな顔すんなよ」
「不安だよ」

地図を渡されたらもう行くしかない。それにあんな必死な目で頼まれたら、行くしかない。席を立って出口まで行ったところで振り返ると抱き締めてくれた。ディーノの顔を見つめると軽くキスしてくれた。そのキスが名残惜しくて私から深いキスをした。

「行かせたくなくなっちまうな」
「私も行きたくない」
「早くいつものリボーンに戻ってもらわないと困るからな」
「……、そっか」
「…大丈夫か?」

リボーンはみんなが心配してくれて、元気づけようと必死になるような人。みんなを必死で繋ぎ止めてる私とは、正反対。改めて感じる差がなんだか悲しい。

「平気!また会ってくれる?」
「当たり前だろ」

ディーノにお別れを言って店を出た。ドレスアップしたままだけど、この際仕方ないということでタクシーを拾った。タクシーに乗っている時間が、妙に短く感じた。










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