目が覚めて今度こそ起きようと思って携帯を見たらもう十時だった。メールが二通来ていて二通ともスクアーロだった。私を心配してくれているメールと任務通知だった。隣を確認すると誰もいないから焦ったけどリボーンは側でネクタイを締めていた。

「悪い。仕事が入った」
「私はデートのお誘い」
「…またかよ」
「一応恋人だからね」
「認めてねーからな」

キスしようとするので顔を背けたら気に食わない、といった顔をした。溜息をついて気をつけろよ、と言うリボーンに返事をした。

「何かあったら連絡しろよ」

ドアを締める前にそう言われたけど返事はしなかった。リボーンは私に甘い。連絡なんで出来るわけないのに、私が嫌な思いをするなら、その身をもって逃げ道を与えようとしてくれている。でも、できないのに。

(結局いつもと同じ)

何度もザンザスには酷いことされてる。何度も経験しているのに懲りないのはお互い必要としているから。一応恋人なんて予防線張ってるけど、本当はお互い利用しているだけだ。

(帰ろ…)

のろのろ起き上がって昨日脱いだドレスをまた着る。着たところで余計空しさが込み上げてくる。黒いロングコートを羽織ってワインの後が目立たないようにした。

マンションを出ると真っ黒いタクシーがちょうど停まっていた。行き先を告げるとゆっくりと発進した。








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