「お邪魔しまーす…」 「急にかしこまると不気味だぞ」 「どの口が言ってるのかなー」 この口か!とほっぺたをひっぱると珍しくリボーンはされるがままになっているからびっくりした。そのままぐいぐいひっぱってると私の倍ぐらいの力で仕返しされた。 「いひゃいいひゃい!」 「面白い顔だな」 「皮膚が!」 「ちょっとは大人しくしてろ」 リボーンは私の後頭部に回した手を自分のほうに寄せたのでそのまま抱き寄せられた形になった。それでも拒む理由もなくしかも心地よいリボーンの胸に頭を預けていると心がじわじわ暖かくなった。 「リボーンがモテる理由もわかる気がする」 「今更だな」 「でも悲しくなってくる」 「なんでだよ」 「うーんザンザスとの違い?」 「いつもあんなことされてんのか?」 「そんなに酷い人じゃないよ」 「お前の体も心配だ」 「平気だって」 「あんなことされてんの見たら」 「…」 「何より俺が耐えられねえ」 はぐらかしていたけどまっすぐ見つめてくる視線に気まずさを感じて、着替えさせてね、とリボーンから離れて浴室に逃げた。ゆるみつつあった涙腺をしっかりしめてとりあえずワインまみれのドレスを脱ぐ。そこで着替えがないことに気付いたけど、今更取りにも行けないのでシャワーを浴びて化粧を落として髪も洗った。脱衣所にでると服が置いてあった。着てみると明らかにサイズオーバー。ここは妥協するしかないけど。部屋に出て行くとリボーンはソファに座ってテレビを見ていた。 「シャワーありがと。あとこの服も」 「ああ。サイズは我慢しとけ」 「そういえば肩大丈夫?あの時ボトル当たってた」 「俺を誰だと思ってるんだ」 私の頭をぽんぽんたたいてシャワーを浴びに行くリボーンを見送ってテレビを見るけど内容はあまり頭に入らなかった。 (やだな…) 一人は寂しいから嫌だ。こんな状態がいつまで続くんだろうってすごく不安になって押し潰されそうになる。それに一人でいるといろいろ考えてしまうから嫌だ。泣きたくなってくる。というか本当、泣きそう 「大丈夫か?」 リボーンの声でハッとして涙が引っ込む。何でもない、と顔を背けるとリボーンは怪訝そうな顔をして私の隣に座る。 「泣いてもいいぞ」 「大丈夫」 「慰めてやる」 「本当いい男だよね」 「はぐらかすな」 「いいって」 立ってソファから離れるとリボーンはついてくる。 「逃げんな」 「きゃー」 またふざけていると少し怒った顔をして追ってくる。リビング、浴室、玄関、またリビング。いろんな部屋に逃げて最終的にたどり着いたのは寝室だった。 「へへ、つかまっちゃった」 「なあ」 「なあに?」 「頼むから我慢するな」 「私は何も」 「じゃあ辛そうな顔するな」 「気のせいでしょ」 「ほっとけねえんだ」 そしてまた私を抱き締めてくる。 「今まで噂で聞く程度だったがあんなことされてるお前を見たら耐えられねえ。それに心配だ」 「…」 「無理すんな、本当に。俺を頼ってくれればいいから」 その言葉を聞いていると今まで辛かったことが思い出されてどんどん涙が込み上げてきた。背中をさすってくれるリボーンの手によってそれは助長された、けど 「なんか今日のリボーン、変」 「本気で言ってんだぞ」 「私リボーンが気にかける価値なんて、ない女だよ」 「うるせえ」 「それに」 「なんだ」 「リボーンが、優し、すぎる、から」 涙止まんない、そう言うと私をぎゅっと抱いてベッドに座って慰めながら話を聞いてくれた。 「暴力は嫌。痛いの嫌いだし」 「痣消えないし」 「でも釣り合うように口調も大人っぽく直した」 「本当横暴で自分勝手でわがままでどうしようもない残念な人」 「だけど」 「時々優しかったり寂しそうな顔するから」 「私はザンザスをほっとけない」 リボーンは相槌を打ってくれて一通り泣いて涙が止まりかけたら軽くキスをしてくれた。私からもキスをすると驚いた顔をした後、優しく笑って首筋にキスをしてきた。 その後は情事にはしり、朝目が覚めるとリボーンは肘をついてこっちを見つめていた。 「起きたのか」 「おはようのキスは?」 「えらくご機嫌だな」 そんなこと言いつつもちゃんとキスしてくれるリボーンはやっぱりかっこいい。しかも寝起きで服も着てないもんだからフェロモンが半端ない。綺麗だね、と顔を触ると、男に言う言葉じゃねえなと不機嫌そうに顔をそむけた。 「なんだか幸せだなあ」 「俺もだ」 「あれ、素直ですね」 「悪いか」 まじまじと顔を見つめるとまたキスしてきた。なんか、こんなリボーンはじめて。 「くすぐったい」 「俺にしとけ」 「悩むなあ」 「悩む必要ねえだろ」 「だって浮気者どうしとか最悪だと思わない?」 「俺は浮気者じゃねぇ」 「毎日違う女連れてるのは誰ですかー?私も人のこと言えたもんじゃないけど」 「あれは「寄ってくるから仕方なく、でしょ?」 「可愛くねえ」 「結構でーす」 うふふ、と笑うと敵わねえな、と言って腕枕をしてくれた。 「もう少し寝よ?」 「充分寝ただろ」 「いーの!こんな優しいリボーン滅多に見られないからかみしめとくの」 「普段優しくねえみたいな言い方すんな」 ふざけ合いながら布団に潜るとすぐに眠気が襲ってきた。よく寝るなあ私。リボーンは寝る様子ではないので、絶対側にいてねと保険をかけておいた。大丈夫だ、そんな声が上から聞こえた気がしたけど睡魔には勝てなかった。 → |
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