「遅くなってごめんなさい」
「随分カス鮫と仲良さそうじゃねぇか」
「スクアーロは貴方の部下じゃない」
「だまれ」

パーティーの始めからこんな険悪な雰囲気だなんて。さっさと前を歩くザンザスの後ろを小走りでついていくけど全く速度を緩めてくれない。怒ってるんだろうな、絶対。こういう時は下手に干渉しないほうがいい、とスクアーロに聞いたので追いかけるのをやめて近くのテーブルにあったケーキを食べてみる。おいしい。

「さきほどの方と何かあったのですか?」

話しかけられたほうを向くと三十歳ぐらいの男がいた。正直放っておいてほしかったけどザンザスも何処かに行ってしまったし、パーティー会場で一人は目立つし、とあれこれ思考を巡らせていると、大丈夫ですか?と顔を覗き込んできた。

「ええ、お気遣いありがとう」
「本当に?外の風にでもあたりにいきましょう」
何気に腰に触ってくる手を叩き落としたかったが、私は今はあくまでザンザス様の恋人役であり淑女設定なので迂闊に行動することは危険だ。だから嫌なんだよなあ、こういう場所。

「その手をどけろ」

まさか、と声がした方向を向くとリボーンだった。なんでここにいるのか問いたかったがそりゃあこういう方面の人ばかりいるのは当たり前かと自嘲しながらありがとう、と言うと

「これで貸しが出来たな」
「あなたはどうして貸しを作りたがるのかしら」
「お前が貸しを作りたがらないからだ。あいつはどうした?」
「あなたもでしょうリボーン。まあ、ちょっとね」

そういうとリボーンは何かを悟ったようだった。お互い認めていることだけど私とリボーンは性格が似ている。そう、私の悪い所はこの浮気な性質だ。









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