天使という名の友達ができた。

冗談じゃない。本物の天使だった。…なんて言ってみるが内心嬉しさが止まらない。その天使の名前は笹川京子。そう、ボンゴレ十代目の想い人であり並盛のアイドル的存在である。


「千秋ちゃん、次移動教室だから一緒にいこ?」

教科書を胸に抱いて私に話しかけてきた笹川に私は軽く頷く。私には友達と呼べるような友達が一人しかいなかった。言わずもがな萩原である。たまたまその萩原が学校を休んだ日があった。2人組をつくれと言われても相手がいない。弁当を食べる友達もいない。これほど悲しいことはない。何故か私は他人から距離を置かれている。…理由は分からないが。そんな時に声をかけてくれたのが笹川京子だった。笹川京子の友達である黒川花ともその縁で仲良くなることができ、この時は本気で笹川の事が女神か天使に見えた。…ような気がした。



私の知る限りでは笹川京子は沢田綱吉のあさり事情に必ず巻き込まれる。黒曜編だって、未来編でもそうだ。黒曜編では確か誰かが助けに来てくれていた気がしたが、正直言って私は彼女達を巻き込む沢田綱吉、もといボンゴレの事をあまり快く思っていない。未来編では白蘭が倒されアルコバレーノの力で死んだ人が生き返るのは知っている。だけど、だからといってこの世界が原作通りに進むなんて保証はできない。笹川達はこれから少なからずボンゴレの戦闘や内部事情に関わっていくだろう。
私は笹川達の身内ではないからどうこう言えないが、やっぱり心配なのは心配なもので。そして、こんな私を友達だと言ってくれた笹川や黒川を危険から守りたい。ザンザスや白蘭から見れば私の力は何てことないような力なんだろうけど、やっぱり大切な人を守りたいと思うのは当たり前だと、思う。

「? 千秋、どうしたのよ」

「京子、花、絶対私が守るから」

「…あんた男前な事突拍子に言うのね」

「ふふ、千秋ちゃん頼もしいね」