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気だるい雰囲気のまま起き上がって百目鬼を見る。
立ち上がったものに唇を寄せる。

何故コンドームについているジェルはこんなに不快な甘さなのか。

「うへえ。変な味。」

百目鬼の起立の先をちゅう、と吸い上げながら思う。
多分百目鬼は絶倫ってやつなのだろう、もう何度も達しているというのに昂りは相変わらず固く反り返っている。

「いやなら嫌って、きちんと言え。」

百目鬼が俺に向かって言う。
体力はどちらかといえばある方だ。

腰に違和感はあるけれど、初めての時より大分マシだ。

唇を起立から放すと、布団に仰向けに寝転がる。
足上げ腹筋をするみたいに両足をそろえて、尻から太ももを見せつける様に上げる。

次はキスをしながらしたい。なんて口が裂けても言わない。

「赤くなっている。」

見せつけた孔をなぞりながら百目鬼が言う。

元々何色だったかも知らない場所だ。

「色が変わってるなら、信夫さんの所為だろ。」

見られているというだけで、俺も少し兆しをみせてしまっている場所は百目鬼から見えてるのか見えてないのかも分からない。

百目鬼は再びコンドームをつけると、ゆっくりと切先を沈めた。


先ほどまでの行為で完全に体が開いてしまっていて、簡単に百目鬼を受け入れる。


一旦、インターバルを置いたはずなのに、快楽の火がすぐに灯る。


喉仏を舐められる。
な、喉仏って舐めたくなるだろって声を掛けたいのに、嬌声ばかりがでて話なんかできない。

鎖骨を噛まれて、それからジュウと音を立てて吸われる。

自然と腕を百目鬼の背中に回す。

感じる部分を重点的に吸って舐めてされていることは自分自身の体が一番よく知っている。

でも今、一番キスして欲しい場所はそこじゃない。

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