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「まあ、いいか。」

隠す方法は後で考えればいい。
笑った後そう言うと、百目鬼は今度は俺の腹を舐めるとがぶりと噛みついた。

痛みに唸りそうになる。
声を出さなかったのは、痛みに対する慣れからだろうか。

顔をしかめる俺を面白そうに眺めながら百目鬼は俺の腹のあたりを、ちゅっちゅと音を立てて吸って時々噛む。
思っていたよりもこれは恥ずかしい。

居た堪れない様な、面映ゆいような、とにかく恥ずかしいのだ。

「な、なあ、それっ……。」

やめてもらおうと声をかけるのに声が上ずってしまう。
胸元を撫でられた瞬間、体がビクリと震えた。

まずいと思ったときにはもう遅かった。
対峙する人間を観察するのには、百目鬼は長けている。

当たり前だ。武道なんていうものはすべて自分と相手をいかに知るかというものだ。
百目鬼がニヤリと笑ったのが分かった。

俺の反応した部分を念入りに吸って噛まれる。

変な声が上がりそうになって自分の手のひらで口を押える。

先ほどまでの余裕なんてもう無くて、「ちょっ……まって。」と無理矢理声を絞り出す。
「言ったこと、していいんだろ?」

百目鬼の声が興奮でかすれている。
自分がそうさせてるという事に少しばかりの優越感。

何か言い返す前に、太ももに触れられる。

何度も確認するように撫でられ、身をよじりそうになった。
そこにはもう白くなった傷跡がある。

前に刀を使った際に怪我をした部分だ。

それを何度も撫でられる。
この怪我の事を百目鬼は知っていた。

「なあ、なんでこの怪我の事知っていた?」

言ってから、いつから俺の事好きだった? と似た意味なのかもしれないと思いいたる。
百目鬼は俺の足を持ち上げる様に腹の方にあげながら少しだけ逡巡した。

膝が腹に付きそうな位曲げられる。
おむつを替えるときの様な体制になった。

傷跡にそっと口付けを落とす百目鬼を見る。

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