37

はああ。
抱きしめた首元に大きなため息が当たる。

「……分かった。」

案外百目鬼は言葉に感情がのりやすいのかもしれない。
短い、言葉に熱がこもっているのが分かる。

抱きしめていた手を離すと百目鬼と視線が絡む。
愛しさがつのって目を細めると、百目鬼がほほ笑んだ。

端正な顔立ちが少しだけ柔和な印象になる。

自然と口付け交わしていた。
ぬるりと入り込む舌が熱い。

乱暴に口内を暴かれて、強く舌を吸われる。

口元から唾液が流れ落ちるのが感触で分かる。

跨っている、太ももとから下腹にかけて再び硬くなった百目鬼のものが当たっている。

舌も唇もジンジンとするくらい乱暴に舐られる。

百目鬼が口を離すと、唾液が糸みたいになってつたってそれから切れる。
お互い馬鹿みたいに興奮してるのが分かる。

そのまま抱き上げられてベッドに押し倒される。

軽々と持ち上げられて、筋力すげえなと関係ない事を考える。

「本当は、休養に充てるべきなんだろうけどな。」

のしかかる百目鬼の腕を撫でながら言う。

今日一日試合だったのだ。
本来なら休むべきなのだ。

それを知っていて誘った。百目鬼も多分分かっている。

百目鬼と目があう。興奮しきっている様に見える表情だが、一瞬目を細める。
それは、初めて勝負をしたときと同じ表情に見えた。

百目鬼が俺の首筋に唇を寄せる。
音を立てて吸われて、チクリとした痛みが走る。

「せめて、シャツで隠れる範囲にしねえ?」
「いやだ。」

簡潔に断られる。
先ほどまで行為自体に疑問を呈していた男だとは思えなくて思わず笑ってしまう。

[ 37/100 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]