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24

百目鬼はおにぎりをじいっと眺めた後、無言で食べ始めた。


こうやって話さなければ普通なのだ。
顔立ちだって、まあ悪くはない。

何故時々あそこまで残念なことを言えるのかが分からない。

「そういえば、俺も柔道始めたから。」

これは、報告でそして宣戦布告だ。

「そうか……。」

返事はそれだけだったけれど、百目鬼は面白そうに笑った。
それで充分だった。

百目鬼が消極的な理由だったとしても、もう一度手合わせしてくれるという事以外もう考えなくてもいいと思った。

「柔道の試合応援に行ってやろうか?」

いい気分だったので思わずそんなことを聞いてみる。
それから、すぐに邪魔だと断られるかと思った。

俺なら少なくとも断る。

試合の時に、それ以外の事は考えたくない。
それがどんな相手だったとしても、だ。

「ああ、なら負けられないな。」

だから、百目鬼が肯定的な返事をした事に少し驚いた。

「いいのか?」

俺が思わず聞き返すと、百目鬼は不思議そうな顔をした。

「一ノ瀬が言い出したんだろ?」

そうだ。俺が上から目線で行ってやろうか? なんて聞いたのだ。

「まあ、そうだけど。」

そうだけど。まあ、そうだけど!!

考え方が根本的に違うのかもしれない。
別に弱いやつの向き合い方じゃない事は分かる。

「気が散らないのであれば、行く」

一度百目鬼が試合をする姿を見てみたいと思ったのは事実だ。
どこのツンデレだよという言葉になってしまって、自分で恥ずかしかったが仕方が無い。

百目鬼は嬉しそうに微笑んだ。

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