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99

昼休みに百目鬼がうちのクラスに来るのはいつもの事だ。

もう、クラスメイトも慣れていたし、何となくそういうものって雰囲気になっている。
それにもう首や項に散らばっていた跡は残っていない。

夏休み前と何も変わらない。

「そう言えば、前百目鬼さんが言ってた冗談、最近聞かないですねー。」

罰ゲーム終わったんですか?と近くの席で集まっていたクラスメイトが百目鬼に聞く。

おい、と怒鳴った方がいいのか、逆に良くないのか悩んでいると百目鬼がにっこりと笑う。

「もう、必要ないから。」

そう言うと、弁当を食べるのを再開している。

その言葉を聞いて、前同じようなことを言っていたことを思い出す。

あの告白は破滅願望の一種のような、とにかく確実に振られるための言葉だったと聞いた。
もう知っている。

破局も失恋も望んでいないから、もう必要ない。


それに、したい事なら、俺が付き合う。

「まあ、必要ないよな。」

まだ、いくつかの告白の言葉の内容は未達成だけれど、したけりゃすればいい。

俺が同じように言うと、百目鬼は少し驚いた様子にみえた。

「それ、一口貰うぞ。」

持っていたパンを一口かじられる。


そういう事は今まで正直あまりなかった。
いつも、百目鬼のものを貰ってばかりだった気がする。

そんなに好きなものだったのか? と百目鬼を見る。

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