世界の終わり方
2
愛なんて信じてはいないけれど、いま誰かと仲良くなりたいのかと聞かれたら、一人だけ思い浮かぶ人がいる。
その人は、面倒なクラスメイトの友達らしく時々うちの教室に来ては弁当と思われる袋を持って二人でいずこかへ行く。
妬ましいというほどの感情はわかなかった。
ただ、もし面倒なクラスメイトとその場所を変わってもらえるなら、なんてことを少しだけ考えてしまう程度には気になっている。
あの人とは、一度だけ、教師に頼まれた作業で一緒になったことがあった。
各クラス数人ずつ出席番号で放課後に残ってプリントの整理をするというただ、単調なものだった。
正直誰かに押し付けてしまえばよかったと思いながら放課後になったが、隣のクラスらしいあの人も一緒でそれからあと数人とプリントの片付けをした。
話した言葉は2,3言だし、多分相手は覚えていないけれどその時間はとても幸福だった。
幸せを感じることなんてめったに無いけれど、今でも時々そのときのことを思い出す。
恋、というのとは違う気がした。
といっても、恋自体したことが無かったので良くは分からなかった。
◆
今日も馬鹿な幼馴染は俺の部屋で泣いていた。
元々、積極的なタイプではない幼馴染にはストレス過多なのだろう。
「もう、好きでいるのやめたい……。」
久しぶりに出たその言葉に、なんていうかもう、俺のほうが限界だった。
「じゃあさあ――」
驚いた顔をする幼馴染になるべく平静に努めて冗談ぽく話を続けた。
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