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「#幼馴染」のBL小説を読む
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ローレライに口付を

5-1

家に帰ってしばらくして家のインターフォンがなった。
友達なんてものはいないし、こんな時刻に訪ねてくる人間に心当たりはない。

明かりはついているので居留守だと分かり切っているだろうけど、無視してしまおうかと思う。
宅配便だったら、不在票が入るだろう。

ピンポーンという音がもう一度鳴る。

仕方が無く玄関のドアの前に立って、ドアスコープから外を覗く。

そこにいた人物に正直驚く。
家の場所を教えたことは勿論無いし、今日は学校を休んでもいない。

先ほどまで一緒にいた筈の赤羽がドアの前に普通に立っている。

どうやって家を調べたのだろうということはあまり気にならなかった。
歌のことを知っていたのだ。多分俺の事を調べぬいているのだろう。

仕方が無くドアを開ける。

「やあ、こんばんは。じゃあ行こうか。」

赤羽とは約束をした覚えはない。
そもそも、どこに何をしに行くのかすら、彼は言わない。

「ちょっと、待て。どこに行くんだよ。」

財布も何も持っていないのに、今すぐ行くぞとばかりに腕を引かれる。

「え? 俺の家だけど。」

赤羽は当たり前の様に言う。
何故俺が、赤羽の家に行かなければいけないのかも、彼が何故そうしようと思ったのかも分からない。

慌てて、鍵だけでもと思い下駄箱の上に置いてあった予備の鍵をつかむ。

「財布を……。」
「別にそんなものいらないよ。」

外に車を待たせてるから。
と言ってそのまま二人で外に出た。

待っていたのは普通のタクシーで少しばかりほっとする。
見るからに高級車という車で乗り付けられるよりはいくらかマシに思えた。

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