明けの明星、宵の明星

続々1

「なあ、なんでこんなにアルファとオメガで許嫁同士になるか知ってるか?」

唐突に安藤に言われて思わず持っていた箸を皿の上において安藤を見る。

「家庭内にアルファがいると事故の元だから、とっとと別の家に嫁がせるって話だろ。」

あまり気分の良くない話に、適当に答える。
うちも姉がアルファで、第二性別が分かって以降極力関わらないようにしていた。
だからそういうものなのだろう。

「ああ、そういう考え方もあるよな。」

何故か妙に納得している安藤をみて不思議に思うが、あまりこの話を続けたく無かったので、もう一度箸を持ちなおして食事を再開した。

「ねえ、安藤。」

安藤が声をかけられてそちらを見る。
この前のオメガがニコニコと立っている。

「今日こそ一緒にご飯してもいい?正弘もすぐ来るし。」

こちらを見もせずに聞いてくる。

安藤は「今友達と飯食ってるだろ。」とため息交じりに答える。

「えー、でも正弘にはもう言っちゃったし。他席もあんまり空いてないし、いいでしょ?」

安藤が返事をする前にその人は安藤の隣に座ってしまった。

「杉浦悪い。」

安藤に言われて首を振る。

直ぐに正弘と呼ばれていたアルファも来てこちらをチラリと見ると不本意そうに俺の横に座った。



「なあ、なんでこんなにアルファとオメガで許嫁同士になるか知ってるか?」

安藤が先程と同じ質問を二人にした。
意図が分からなかった。

「そんなのアルファとオメガが惹かれ合うものだからでしょ。」

何をいまさら言ってるの。と笑われる安藤を見て不思議な気持ちになる。

安藤がこちらを見た。まるでこの二人の方が普通であるかの様な反応に困ってしまった。

「お二人も許嫁なんですか?」

思わず聞くと「えー、最初は違ったけど今は婚約者だよ。」と面倒そうに答えてくれる。

「この二人は確かパーティで知り合ったんだよ。」

安藤に言われて、ああ。と合点が行く。

「ベータとは恋愛観がそもそも違うからな。」

俺をチラリと確認した後正弘は安藤にそう言った。

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