No Smoking


▼ 11-2/4

「本日もお会いできて嬉しいです兄貴!」
「くっつくなナマエ! わいはおめェのお守りじゃねェんだぞ!」
「そんなつれないこと言わないでくださいよお」
「おやおやァ、戦桃丸君、ずいぶん気に入られちゃったねェ〜」

 クザンさんの部屋に向かう道すがら、わたしが出会ったのは、先日報告のため本部を訪れたお二方。三大将のひとり、クザンさんと並ぶ長身を持つ黄猿ことボルサリーノさんと、詳しくはわからないけど非正規海兵だかボディガードだかをしているらしい戦桃丸の兄貴である。

 彼らとはここ数日の間、クザンさんのところに行くたびに顔を合わせるので、すでにだいぶ打ち解けてしまっていた。実は初対面のとき、ボルサリーノさんに迷子だと思われて襟首を掴まれて追い払われかけた事件とかもあったのだが、基本的に話のわかるおじさんだったので無事誤解を解くことに成功。それからは普通に話すようになり、昨日なんかはクザンさんの部屋で三人仲良くお茶してしまったくらいだ。

「おめェ別に、誰にでも人懐っこいわけじゃねェんだろ。なんでわいなんだ……」

 そう不機嫌そうにぼやくのは戦桃丸兄貴。おかっぱ頭に真っ赤な腹掛、背中に担がれた巨大なマサカリ。そう、聞いて驚けこの戦桃丸兄貴――どう見ても金太郎なのである。いやあ、ものすごい格好をしているので始めはめちゃくちゃ驚いたのだが、なんというのかものすごく愛嬌のある人柄なので、わたしはこの人がかなり好きだった。というか、基本的に腹に一物抱えている海軍の人たちと違って、兄貴は純粋にすごくいい人なのだ。

「だって戦桃丸の兄貴ってまれに見るめっちゃいい人じゃないですか」
「いやァ〜ナマエ、見る目あるよォ〜。ちょっと口は悪いけど……わっしもねェ、ときどき戦桃丸君の頭を無性によしよししたくなるときがァ〜……」
「やめろオジキ! てか、いい人ならオジキとか青キジの大将とかでいいだろ? わいは世界一ガードの堅い男だぜ、絶対におめーを甘やかしたりしてやらねェからな」
「でもクザンさんは働かないだらけきったド変態セクハラ親父だし、ボルサリーノさんは見るからに性悪だからイヤです」
「オジキについては否定しねェけど、青キジの大将ってそんなんなのかよ……」

ボルサリーノさんは「オー、傷付くねェ〜」と言いつつ全然傷付いてない顔でニコニコしている。彼は別に悪い人ではないんだけど、性悪なのである。

「でも確かにあまり馴れ馴れしいのは良くないですよね。ごめんなさい」
「な……ッ、別に謝る必要はねェだろ、わいはベタベタすんなっつっただけで……」
「はい……まずは『雰囲気的に仲良くなりたいけどいまいち話しかけづらい机ひとつ挟んで向こう側の席のクラスメイト』みたいな距離感から始めるべきでした」
「オイそうじゃねェよ、ナマエ! てか具体的すぎてよく分かんねェよ!」

 そのキレのいい律儀なツッコミに、わたしは思わずじーんと感動に打ち震えた。やっぱり兄貴は最高だ。なんだかんだ今まで知り合った人たちは、わたしが色々かましても呆れるか困るか笑うか驚くかしかしてくれなかったので、ちゃんとツッコんでくれたのは兄貴が初めてなのである。いやはや、わたしも相当ツッコミに飢えているらしい。

「な、なんだ、黙るんじゃねェよ……いきなり怒鳴ったのが悪かったか……? おいナマエ。ほらよ、飴やるから元気出せ」
「戦桃丸君、わっしはそれを甘やかしてるって言うと思うんだけどねェ」

 別に落ち込んでいるわけではないのだが、兄貴はわたしの頭をなでなでしながら飴を差し出してくる。しかもこれはどう見ても金太郎飴である。これで兄貴を好きにならないわけがない。兄貴、一生ついていきます。



「ちょっとちょっと……遅ェと思ったらなに楽しそうに話し込んでんのよ、ナマエちゃん」
「あ、クザンさん」

 のろのろと海軍本部の廊下を歩いて来たのは我が上司こと、いつものだらけきったおっさんである。紙袋を片手に下げてこちらに手を振るクザンさん……なんかこの人が二足歩行してるの久々に見た気がする。海軍本部大将がそんなんでいいのだろうか。

「酷ェなァ、戦桃丸にばっか懐いちゃって……おれにゃちっとも懐いてくれねェのによ」
「わいは世界一口の堅い男だから告げ口なんざしねェが、さっきナマエがあんたのことを『働かないだらけきったド変態セクハラ親父』つってたから仕方ねェんじゃないか?」
「ちょっと兄貴、全部言っちゃってるじゃないですか」
「今のはわいが自主的に報告しただけだ」
「そりゃァちょっと言いすぎじゃねェの……」

小突き合うわたしと兄貴を見ながら、クザンさんは肩を落として地味にダメージを受けている。ボルサリーノさんが彼の方を叩きつつ「元気出しなよォ、クザン……ほらわっしも性悪って言われたからさァ……」と微妙な励ましを送った。

「大丈夫です、クザンさんはド変態セクハラ親父ですけど黙ってればかっこいいですよ。強いし。美味しいお菓子もくれるし」
「そのド変態云々止めようや、ナマエちゃん」
「クザンさん、今晩したいことはなんですか?」
「ボインねーちゃんと一晩中よろしくしてェ……」
「残念ながら撤回は不可です」
「ってナマエちゃんが言わせたんだろ、今のは」

そんなわたしたちの和やかな会話にツボるボルサリーノさん。それとやや引き気味の兄貴。クザンさんはド変態だけどノリはいいから許してあげて欲しい。基本的にはちゃんとした人だから。


「――それでクザンさん、今日はどうしたんです? 朝っぱらから、今日は来るようにと念押しの電話がかかってきましたけど」
「あァ、そうそう。ナマエちゃんに制服作るって言っただろ……あれが届いたんでな。忘れねェうちに渡そうと思ったのよ」

 そう言いながら、クザンさんは手に下げていた紙袋をわたしに差し出した。なるほど、わざわざ持ってきてくれたらしい。隣にいる兄貴も少し興味ありげな様子でこちらを覗き込んでいる。

「おお、早かったですね! そういえばデザインどうしたのか聞いてませんけど、どんな感じ、に……」

 早速どんなものかと期待しつつ、わくわくと紙袋から引っ張り出し、手に取って広げ、そして停止。


 一瞬気が遠くなった気がする。いやあ、どうも白昼夢を見たらしい。もう一度確認。いやいや。
 しかし何度確認しても目の前にあるのは見覚えのある黒い服。いやいやいや……思わず三度見か四度見くらいしたけど、わたしの目は正常だ。間違いない。真っ黒の生地に白線三本のセーラー襟、胸元には可愛らしい赤のスカーフ。やっぱりこれはどう見ても、青春の匂いを撒き散らす正統派セーラー服(冬)である。

「……ふざけてるんですか?」
「安心してくれ……黒のパンストは用意してある」
「ふざけてるんですか?」

 しれっとしたクザンさんの襟首を掴んでがくがくと揺さぶってやりたい衝動に駆られるが、なにしろ物理的に手が届かないので、わたしはセーラー服を握りしめてこのわけのわからないおっさんを睨みつけるしかない。ほんと大丈夫かこの人、いい加減心配になってきた。てかクザンさんは黒ストッキング派とか今世紀最大にいらない情報である。だから性癖のカミングアウトは求めてないって言ってんのに。

「クザン……いくらなんでもそれはねェよォ〜……」
「ナマエ……流石にその……仕事場考え直したほうがいいんじゃねェか?」

 ボルサリーノさんは宥めるように言うだけだが、戦桃丸兄貴に至ってはガチである。心配そうに「仕事に困ってるなら紹介してやるから」とまで言い出す始末だ。まあ今この状況でクザンさんを庇えというのも無理な相談だが、普段はここまで振り切れてないんですよ、本当に。

「そういう趣味を否定はしないけどさァ〜、もう少し場所を選んだほうがいいと思うよォ、わっしは」
「ちょっと待ちなさいよお前さん方……おれァ別にコスプレは趣味じゃねえよ。海軍と言えばセーラー、見分けやすく色は黒と赤。なんら問題はねェじゃないの……それにナマエちゃんの年齢的に言っても妥当だろ」

 問題ありまくりだこのやろう。わたしのことを中学生か何かだとでも思ってんのかこのおっさん。

「ウ〜〜ン、まァ確かに〜……」
「そう言われりゃァ……まァ……」

と思ったらなにコロッと説得されかけてるんだこの人たち。あれなのか、みんなわたしを中学生だと思ってる腹なのか。流石にそれはないと願うが、しかしとにかく納得がいかない。

「問題しかないですよ、アホなんですか」
「まさかナマエちゃん、着てくれねェのか?」
「逆に着ると思います?」
「あららまじか……折角のオーダーメイドなのに」
「うーん、それを言われると弱いですけど……」
「返品、出来ねェんだけどな」
「いや、でもですね」
「おれも結構真剣に選んだのになァ」

ため息をついて遠くの方を眺める沈痛な面持ちのクザンさん。ちょっとちょっと、なんでわたしが悪いみたいになってるんだ。許せん。

「いいんじゃないかなァ〜、ナマエ。わっしもお前さんはこれ似合うと思うよォ〜?」
「んなっ、なに手のひら返してんですか。どっちつかず過ぎますボルサリーノさん」
「……まァ一回くらいならいいんじゃねェか? 青キジの大将はあれだろ、おめーのためを思ってこれを選んだんだし、無下にすんのも道理に合わねェよ」
「兄貴まで……嘘でしょう」

 どうやら兄貴のいい人っぷりが仇になったらしい。クザンさんが嘆く姿を見て同情でもしたのか、さすがにオーダーメイドはもったいないと思ったのか、性格がチョロ過ぎるのかは定かでないけれど。ちくしょうこの裏切り者どもめ。これが四面楚歌というやつか。なぜ成人間近になってまで中学生みたいな格好をしなくちゃならないんだ、わたしは。

「誰がなんと言おうと、断固・拒否! です!」
「一回でも着てくれるんならホラ、前から言ってたでしょ……海面サイクリング連れてってやるから」

 なんだと。

 クザンさんが愛用する古い自転車、通称青チャリ。近頃はわたしもときどきお手入れをさせていただくこの自転車は、クザンさんが海を凍らせてサイクリングするというトンデモな移動方法を可能にしている。前々から話には聞いていたしぶっちゃけ羨ましいのだが、そのたびにクザンさん、「しかし落ちたら流石に危ねェし、ナマエちゃんをマリンフォードから出すとまたなんかやらかしそうでなァ……」と渋っていたため、わたしも本人がそう言うなら仕方ないと諦めていたのである。そのはずが、なんだってこんなことで交渉材料にされるんだ。危険性よりもわたしのセーラー姿を取るクザンさん、セクハラ親父の鑑である。

「そ、そういうの無しですよ」
「行きたくねェの?」
「もちろん行きたいですけど」
「なんなら好きな島連れてってやろうじゃない」

うぐぐ。わたしが揺らいでると分かるとグイグイくるなクザンさん。普段はダラダラのくせにこの野郎。しかし実のところ、行きたい島はたくさんある。とはいえ機会がないし、マリンフォードを出るのは確かに不安だし、ということで願望止まりだったのだけど、クザンさんがいるとなれば実際怖いもの無しである。こんなチャンスは滅多にない。

「……あーもう、分かりました! 着ればいいんでしょう、着れば。その代わり約束は守ってくださいよ」
「当たり前じゃねェの。なにしろおれとしてはいいことづくめだしな……んじゃ、またデートしようや」

クザンさんは上機嫌でウインクする。無駄に上手い。なんかうまく丸め込まれた気もしないでもないが、お出かけは嬉しいのであまり深く考えないことにしよう。




 結局押し切られてしまったことを後悔しつつ、クザンさんの執務室で着替えを済ませた自分の姿を見下ろせば、そこには懐かしさを覚える黒セーラーと膝丈のプリーツスカート。ちなみに黒のハイソックスはクザンさんに対するささやかな抵抗である。確かに中学生時代からほとんど身長は伸びていないので、セーラー服を着ることに問題あるかと言われればないような気もするが。しかしこの件に関してはそういう問題ではない。

 わたしが顔を見せた時の彼らの反応といえば、なんというか、いかにも娘の制服姿が拝めた父親的な雰囲気で、もしかして年齢を想定以上に勘違いされているのではないかと案じたくもなる。どうか杞憂であってほしい。ちなみに兄貴曰く、「わいも新兵時代にセーラー着てた時期あったぜ、気にするこたねェよ」との励ましだが、この黒いセーラー服はそういうのとは違うのだ。でも戦桃丸の兄貴がセーラー着てるところは見たい気がします。てか非正規海兵なのに新兵時代があったのか、兄貴の経歴は謎だ。

「クザンさん。次こそは必ずわたしにデザイン案の確認取ってから発注するようにしてくださいよ」

 そんなわたしの有無を言わせぬ語調を聞き、クザンさんは不満げに眉を寄せた。

「いや、でもな……ナマエちゃんにはこう、サプライズ的な渡し方をしてェだろ」
「なんでそんな微妙なとこにこだわるんですか」
「ホラお前、服に関しては保守的じゃないの」
「それに何の問題があるんですか」
「おれァ可愛い服をナマエちゃんに着せてェんだ」
「はあ、結局のところそれなんですね」
「あ〜! じゃあ次はわっしがクザンと一緒にやるよォー。ちゃんと見張るからさァ〜、どうかねェ?」

 横からひょいと口を挟むのはボルサリーノさん。えー……さっきの手のひら返しを見る限り、微妙に信用ならんのは気のせいではないと思う。でも確かにこのままだと、クザンさんも結局また無断でオーダーメイドしそうな雰囲気ではあるしなあ。ていうかこの人たちそんなことしてる暇あるのだろうか。

「じゃあ……ほんと頼みますよ、ボルサリーノさん」
「オー、任せなよォ〜〜」

 不安だ。実に不安だ。


「いやァ〜しかし今日制服が用意できたのは運が良かったんじゃないのかねェー」

 表情の読めない間延びした声で、顎に手を当てつつそう切り出すボルサリーノさん。その言葉に、クザンさんが怪訝そうな顔をした。

「ンん……? なんでよ」
「おやァ〜お前知らねェのかい、クザン。今日はちょうどサカズキが戻ってきてんのよォ〜」
「…………オイオイ、初耳だ」

クザンさんの顔がさっと青ざめた。サカズキ……というと、ときどき聞く名前である。確かもう一人の大将さんとかだったはず。なんとなく仲が悪いらしいのは知ってたが、クザンさん顔色が悪くなるほど苦手なのだろうか。

「ほらサカズキってさァ、ちょっと人の話聞かないところあるから〜……ナマエが普段着だと問答無用で出禁にしちゃう可能性とかあるでしょォ〜、実際わっしも追い出しかけたしねェ」
「でもこの格好で関係者ってわからなくないですか? せめて海軍のロゴくらい入ってたらあれでしたけど」
「いやァ〜一応海兵っぽいデザインではあるからねェ、説明する一瞬のチャンスくらいなら出来るかもしれんでしょう」

 いやいや、待ってほしい。今只ならぬことを言わなかったかボルサリーノさん。それって本来なら一瞬のチャンスも無く……どうなるんだ。

「まだ本部にゃ来てないけどさァ、まァ〜今日のうちはサカズキに出来るだけ会わないようにした方がいいだろうねェ……会えたらわっしからナマエのこたァ伝えとくよォ〜」
「助かります。自分から会いには行かないでしょうけど……サカズキさんってそんな怖いんですか」
「……赤犬の旦那は悪ィ人じゃねェんだが、とにかく徹底的だからな」

隣にいる兄貴が腕を組みつつ難しい顔をする。

「行き過ぎじゃねェかってくらいの正義を掲げてる。海兵としては誰よりも優秀なお人だが、わいはときどきその執念にゾッとするぜ」
「戦桃丸君は素直だねェ〜。まァー、わっしはサカズキと付き合いも長いし、あいつのそういうところは結構好きだけどねェ」
「ま、とにかくおめェ、ただでさえ慇懃無礼なんだから気をつけろってこった」

失敬な、これでも人によって態度は選んでいるというのに。しかしここまで恐れられているサカズキさんとやらはヤクザか何かなのか――いや、海兵である以上それは今更な話だった。特に大将の御二方のヤクザっぷりはなかなかであるし、きっとその人も相当恐ろしい見た目をしなすっていることだろう。

「そうですね、話が通るまでは大人しくしてることにします。……ところでクザンさん、さっきから黙り込んでどうしたんです?」

 青ざめたまま何か必死に思い悩んでいるクザンさんに話しかけると、彼は「あー……」と歯切れ悪く呻いて目を逸らした。ポリポリと頭を掻きつつ、コリャやっちまったとでも言いたげな顔をしている。なんだろう、こういうときの嫌な予感は割と当たるのだが。


「おれ、こないだ部屋掃除したときに……溢れかえった荷物全部サカズキの部屋に移動させたままなのよ……」


「……はいぃ?」
「はァ?」
「まァたなんで君はそういうことをォ〜」

 さっき散々サカズキさんはやばい人と聞いた直後なのに、クザンさんはとんでもないことを言い出した。三人仲良く呆れ声が揃う。一体なんだってそんなことになってんだ。

「ホラ……サカズキの奴、趣味が海賊退治だから滅多に本部に戻らないじゃない。だからまァ、おれと部屋近いし、一旦荷物置かせてもらおうと思ってな……いやァ、今の今まで完全に忘れてた」

 ああ、またやらかしやがったこのおっさん。というか邪魔なものを移動させるのってそれ片付けとは言わないからな。それも他人の部屋に……わたしの中ではクザンさんがだらけているのは今更だけど、しかしながら今日の彼の株の下げっぷりは尋常じゃない。そんなざまで読者人気とか大丈夫なんですか。

「それならこんなところでのんびりしてないで片付けないとじゃないですか! まだこっちまでいらしてないなら間に合います。ほら行きますよクザンさん」
「おォ、ナマエちゃん手伝ってくれんのか」
「どうせ手伝わないと終わらない量なんでしょう。とりあえずクザンさんは荷物運び出してください、わたし掃除するので」

履きなれないスカートの裾を揺らし、わたしはクザンさんの服を引っ張って廊下を歩き出す。

「それじゃお暇します。長話してしまってすいませんでした!」
「はァ〜い、サカズキが来る前に急ぎなよォー」
「そんじゃあな、ナマエ」

お二人に見送られて、わたしたちは執務室目指して廊下を急いだのだった。

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