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「来ました、新入生…」
「バスケ部ってここか?」
わぁい…まんがのとおりにすすんでるぅー。先輩を猫のようにつかんでいる彼の迫力は半端ないですね、はい。
はっ!こんな事をやっている場合ではない!ここがバスケ部のブースという事は、ここで待っていれば黒子くんが来るということ!
大人しく待っていればいいのか!
しばらく大人しく待っていると。
『あ!』
黒子くん発見!本当に普通に描いているだけなのに誰にも気付いてもらえてない!
感動するよ!
あ、いってしまう、追いかけなければまた路頭(表現はあれだけどあながち間違ってはいない)に迷う!
『黒子くん、待って!』
「!結衣さん…、よくボクを見つけられましたね」
『ん…?そういえばそうだね?何か見つけやすかったのかな?』
「……そうですか?」
うーん、我ながら何を言っているのか意味不明である。
でも実際なんで私が黒子くんを見つけられるのかわからないし、見つけられるんならそれに越したことはないから、よしとしよう。うん。
そ し て
入学式から数日後。仮入部の日。
私はその前日の夜、黒子くんにまた爆弾発言を落とされていた。
――『え、マネージャー志望にしといた!?』
――「はい」
――『何で!?私マネージャーというか、バスケの知識なにもない!!』
――「マネージャーとはいわゆる雑用係りなので、その辺の知識は要りませんよ」
――『……』
黒子くん、それはあんに私に雑用をせこせことしていろと言っているようなものではないですか。
そんな事を思いながら、私はしくしくとべそかきながら黒子くんに引っ張られて体育館まで連行されました。
そして体育館内。
リコさん、素敵です……。
綺麗ですね、美人さんだと私は本当に思っていますよ。
なので、そんなきらきらした瞳で私を見つめないでください……!
マネージャー辞退したいですとかいえないじゃないですか…!
「あなたがマネージャー志望の榊原結衣ちゃんね!私は相田リコ!よろしくね」
存じております。とてもよく存じておりますとも…!だからきらきらした笑顔を向けないで!!
『あ、あの、私…自分でマネージャー志望を書いたわけではなくて…知り合いが勝手に…』
「もー、でもこんなに可愛い子がはいってくれれば、うちの連中もやる気が出るってもんね!」
『リ、リコせんぱ……』
「あ、もうそろそろ始めなきゃ、じゃ、また後でね!」
ああああああ。
行かないでぇぇぇぇぇ!!
伸ばした手は虚しく地面に吸い寄せられてしまったのは言うまでもない。
「よーし、全員揃ったなー」
そろりと体育館内を見回しているとそんな掛け声が聞こえてきた。
今のうちに逃げ出してもいいだろうか…。
いや、そんなことしたら、お家に帰ったときに黒子くんに質問攻めされる事がわかりきっている。
止めよう。
大人しく見学しているしかない。
「男子バスケ部カントク、相田リコです。よろしく!!」
「ええー!?」
「……じゃあまずは、シャツを脱げ!!」
わお……本気でここからいなくなりたい、私。
目の前には上だけ脱いだ男子生徒がいっぱい。わあ、私目のやり場に困っちゃう……。
しかし、それを気にしないのがリコ先輩である。
移動しながら男子生徒の身体を見始める。そして、それぞれにアドバイスをしていく。
よく見てるなぁ……。
私は今すぐここから消えてなくなりたいというのに……。
火神君の前でしばらく止まっている。
……あ、見とれてる……。
「カントク!いつまでボーっとしてんだよ!」
「ご、ごめんっっ。で、えっと……」
「全員見たっしょ?アイツでラスト」
「あっそう?…れ?」
『……ん?黒子くん見てなくないか?』
「………黒子くんってこの中にいる?」
「あ!そういえば帝光中の…」
「え!?」
「帝光ってあの帝光!?」
『…え。何でみんな気付かんの?めっちゃ目の前にいるんだけど…』
離れたところにいる私の言葉なんて届くはずもなく。
「黒子!黒子いるー!?」
探している意味が分からない。本当に、すぐそこにいるのに……。
「今日は休みみたいね。いーよ、じゃあ練習始めよう!」
「あの、すみません…」
あ、ついに黒子くんがうごいた。
「黒子はボクです」
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