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『黒子くん……間違ってるかもしれないんだけど、今日って入学式なの』
「はい。間違ってませんよ。今日は入学式です。高校生活の幕開けです」
『な、ななな、なんで私誠凛高校の制服を着て入学式に来てるの!?』
「昨日、母さんが大喜びで用意してましたよ」
『ありがとうございます!!じゃなくて!』
突込みどころがいっぱい過ぎて、もう何を言えばいいのか分からなくなってきた。どうしよう……。
私入試とか全く全然やってない。勉強は悪くないほうだとは思うけど、これは、ちょっと……。私の心境的に全くよろしくない。
とりあえず、手を引っ張られてるから何も出来ないのが現状ですが。
……ええ、何も出来ませんよ。手を引いてもらってますから!
「結衣さん。はぐれないようにしてくださいね」
『……黒子くんが私を引いてくれてるから大丈夫だよ〜』
「……そうですか」
はいそうです。今この状態で迷子になったら私何も出来ませんからね。胸を張っていえますとも!!
……悲しくなってきた。
私はそのまま黒子くんに引っ張られながら移動する羽目になる。
周りは部活の勧誘が大変そうだなー。高校ともなると、やっぱり大学進学に響くからかなぁ?
そこまで大学進学に響くのかどうかは実際に私は分からないけど。
「ラグビー興味ない!?」
「日本人なら野球でしょー!!」
「将棋とかやったことある?」
「水泳!!チョーキモチイイ!」
勧誘の掛け声に、全然前に進めていない人はやっぱりたくさんいるそうで。それに反して、黒子くんは意にも介さずにすいすいと進んでいく。
おお、さすが……。
って、感心してる場合じゃない!
『黒子くん!!』
「はい?」
『わ、私……』
実はずっと我慢している。
『お、お……』
「?」
「お手洗いに…行きたい、です……」
「……スミマセンでした」
そう言って黒子くんはぱっと手を放してくれた。
そうして私はやっと黒子くんから解放され、お手洗いへといける事になりました。
『……ここどこ……』
はい、おなじみです。ええわかってましたとも。
先ほど記述しました。
迷子です。なうです。
迷子なうです。
なんてこった。コレでは見つけられないではないか。いや、根性で見つけて見せるとも!
だって、こんなところで一人でいたら部活の勧誘が怖いもん!
と、ちょうどそのとき、バスケ部のブースに行き着いた。
そして……。
『……うわぁお』
あれって、火神くんだよね?ほんとに漫画のとおりじゃん…。
自覚したくないけど、コレってやっぱり【黒子のバスケ】かい……。
私は一体どうしてこんなところに飛ばされなければならなかったのでしょうか、神様……!
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