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何をどう説明してくれたのか、黒子君のご両親は私を快く引き受けてくださり、しかも養子縁組までしてくれた。
……現代日本のどこを探しても、こんな懐の広い人たち、そうそういないと私は本気で思う。

名前はあなたの大切なものだから、とお母様は私を私としとして扱ってくれるそうです。
……ああ、私、この人の上に落ちてきてよかった…っ!

「じゃあ、今日はボクと一緒に寝ましょう」

……彼はまたも私に爆弾を落としてくれた。

『は、い……』

が、それに抵抗できるだけの力をすでに削がれていたため、もう頷くに限る。
面倒くさいとかではないんです。決してそんな事はないんです。ただ、彼は女心をあまりわかってくれていなかったというだけで。

けど、まだ信じられない事がたくさんありすぎて、私は少し混乱状態。
もう少し様子を見てから決断したい。

「結衣さん?いきますよ」
『は、はい!』

呼ばれて、私は駆け足で黒子くんの後を追った。

「………」
『え、何?どうしたの?』
「…あ、いえ。何でもありません」
『?そう?』

驚いたように私を見つめていたから聞いたんだけど、なんでもないといわれてしまった。
気にしないようにしよう。うん、それがいい。
そして、黒子くんの部屋につく。

「…………」

今度はどうしたんだろう。
また彼の動きが止まった。

「…とても今更なのですが、女性を自分の部屋に連れてきてしまいました」
『……そ、うだね。まあ、私のことは女と思ってくれなくていいから!!』
「……そんな無茶を言わないでください…。結衣さん」

励ますつもりで言った言葉だったんだけど、何か小声で否定された気がする。
というか、その事実に気付くのが遅すぎるよ、黒子くん!!

『でも、とりあえず寝ないと身体持たないし、寝ようか?』
「……拷問です」

何かを言っていたけれど、声が小さすぎて聞き取れない。という事は私は聞かなくていいことだと自分を納得させて、黒子くんを促す。
どこで寝ればいいのかと思ったけれど、黒子くんが自分が使っているであろうベッドを指差したので大人しくそこに座ってみる。

「ボクもその横で寝ますから、ちょっと狭くなりますけど、我慢お願いしますね」
『は、い』

まじか、とか思っちゃいけない。
私は好意でここにおいてもらっている人間!
そう言い聞かせて、私のドキドキハプニングの夜は明けていくのだった。

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