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連れてこられたのストリートバスケをしている場所だった。
というか、なんで私までここにこなければならないのでしょう。誰か私の疑問に答えてください。
私は、ここにトリップしてきた人間であり、もともとこの物語には登場しないのに!!
物凄く巻き込まれている感が半端ない……!!

「…てか、黒子っちとこうして話すのも久しぶりっスね。ケガ、大丈夫スか?」
「…はい。大丈夫です」

うわぁい、早速仲間はずれー。
いや、当たり前の現象なんだよ?本来ここにはテツヤ君と黄瀬君しかいないんだからね?
しかし黄瀬君。なんでベンチの背もたれの上に座ってんの。
普通に座りなよ…。
とかそんなくだらないことを考えていると、黄瀬君がテツヤ君にいう。

「そういえば、緑間っちに会ったっスよ」
『あの無礼千万の緑頭ね』
「……結衣さんから物凄い怒気が伝わってくるのですが…」
「ま、まあ、いろいろあったんスよ!」
『でも、凄いのは知ってる』

私がそういうと、黄瀬君とテツヤ君の表情が変わったのが分かった。

「そう、あの左手はハンパねーっスよ。ジッサイ。かに座がいい日は特に」
「…はい」

一箇所突っ込みたいところはあったけれど、まあ我慢しようではないか。
気にしはじめたらきりがないもんね!!

「ま、今日は見に来ただけらしースわ。それより…黒子っちにも結衣っちにもフられ試合も負けて。高校生活いきなり踏んだりけったりスわ〜」

フられたといわれても、私的には正当に断っただけのつもりなんですけど。……あ、これをフられたというのか。
これは、こちらが悪いのか?どっちも譲りたくないことがあったから意見が合わなかっただけであって、別に黄瀬君が嫌いでやっていることではないのだからあまり気にしないほうがいいのだろうか。
いや、でももし気分を害していたなら謝ったほうが言いに決まっている。

と、私が一人で勝手に悶々と悩んでいることなどお構いなしに、テツヤ君がさらりと黄瀬君に謝っていた。
なんて素直な人。でもどうして皇も嫌味っぽく聞えてしまうのか。謎である。

「……冗談っスよ。そんなことより話したかったのは、理由を聞きたかったんスよ」

手に持っているボールをテツヤ君に投げつけながら、同時に黄瀬君は質問も投げつけた。

「なんで…全中の決勝が終わった途端、姿を消したんスか?」

テツヤ君は投げられたボールを両手で受け取ってからしばらく、考え込んだ。それはもう、ほんとに困ったかのように。
まるで、その答えはまだ自分自身の中で確実に持っていないかのようだった。そして案の定、彼は私が感じていたことを言葉に出して黄瀬君の質問に答えた。

「…………、わかりません」
「へ?」

少し期待はずれのような、なんなのそれ、見たいな感じの返事を黄瀬君はした。
まあ、これが普通の人の反応だと私も思う。

『(……なんとなく、漫画で呼んだことを思い出してきたけど。口出さないほうがいいんだよね)』

私は、何も言わないほうが言いと判断して黙っていることにした。

「帝光の方針に疑問を感じたのは確かに決勝戦が原因です。あの時ボクは何かが欠落していると思った」
「スポーツなんて勝ってなんぼじゃないスか!それより大切なことなんてあるんスか!?」
『それは……人それぞれによるんじゃないのかな…?』
「結衣っち?」
『あ、ゴメンね。口出しちゃって。でも、言いたかった。スポーツは確かに勝ち抜いていくものだと、私も思う。だって、負けたらそこで終わりだから』

そういったときの黄瀬君の表情は少し苦渋に満ちていた。
いやなことを思い出させた……。

『でも、負けてもえられるものはあると思うの。いろいろ、感じることもあると思う。今まで勝利しか知らない人にとっては、なおさら』
「結衣っち…。それは、キミのきれいごとなんじゃないの?」
『まあ、そういわれても仕方ないと思うよ。だって、私は当事者じゃないもん』
「!」
『でも、私にだって「負け」の苦しさぐらい分かるよ。誰だって、絶対に一度は経験することだと思ってる』
「……でも、オレは一人だけそれを知らない人間を知ってる。その人についてきたから、オレは負けを知らなかった」
『ねえ、思い出してみて。
ボールの感触。バッシュのスキール音。ネットをくぐる音。火神君を思い出してくれると想像しやすいと思うんだけど、彼、本当に心のそこからバスケットがすきで、全部、人一倍バスケットに対して真剣だったと思わない?』
「…………」
『うーん。じゃあ、いい社会勉強になったと思っておけばいいんじゃない?なにも負けたら本当にそこで全てが終わるわけじゃないし。まさか人生をそこで終わらせるようなバカじゃないでしょう?』
「……やっぱ、わかんねっスわ」

少しだけ悔しそうに、黄瀬君がそう呟いた。


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