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気がついたら、こうなっていたわけで。
『……え』
「……え」
お互いにとぼけた声が出たのは仕方がないと思ってほしいです。はい。
だって、状況がつかめてないんですもん。
え、とりあえず、ここはどこなんでしょうか。
わたし、自分の部屋にいたはずなのです。もちろん、部屋着で。
それなのに、どうして私いま男の子の上にいるの。
『ごっ、ごめんなさいぃぃぃっ!!』
状況は分からなかったけどこの体勢はないよ、私!
というかここどこなの!?
ここ日本!?
それよりもこの格好で男の子の上に登場は恥ずかしすぎますねっ!
「……いえ」
ああああああああっ!
引いてる、完全に引いてるっ!本当ごめんなさい!こんな人間でごめんなさいっ!というか、この状況が私にも意味わからないので、謝るしかできなくてごめんなさいっ!
「……とりあえず、落ち着きましょう。大丈夫ですよ」
『……や、優しすぎて、涙が……っ!!」
「あ、泣かないでください」
うう、この人優しすぎるよ……。
『えっと、取り乱してしまってすみません。私……結衣って言います…』
「あ、はい。ボクは黒子です。黒子テツヤ」
『……………………………………』
「?」
『ちょっと、頭冷やすためにここから飛びえりてみますね!』
「何言ってるんですか。怪我しますから」
『夢!これは夢!惑わされちゃダメ!!」
「夢でもなんでもいいですから。とにかく、もう一度ここに座り直してください」
ぐい、と引っ張られて立ち上がっていた私は、バランスを崩して結局また冒頭に戻る。
『あぁぁぁもぉぉぉ!本当にすみませんーっ!』
パニックで何を言えばいいのかわからないし、この状況にも赤面する以外何もできない。
冷静でいられないと、人間はこうもだめな生き物に堕ちるのか。
「とりあえず、年齢は?ボクと同じくらいでしょうか?」
『え?えっと、私は春から高校生の予定でした…』
「ああ、じゃあ同じですね。明日から一緒に学校に行きましょう」
爆弾を落とされた。
『……………え?』
「え?学校行かないんですか?」
『いや、私は…』
「事情はわかりませんが、とにかく行きましょう。あ、ちょっと親に相談してきますね」
そう言って、私の下からするりと抜けて、黒子くんは自分のご両親に何かを説明しに行った。
うん、その親切、とっても嬉しいんだ。本当に嬉しいんだけど、そのあらましを一から説明されたら……。
『私、痴女確定じゃないですか!?』
かと言って、止めることもできず、私は出て行って既にいない黒子くんに対して、遅すぎるてを伸ばし、そしてうなだれるしかなかった。
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