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むくっと頭を上げたあの金髪長身は、間違いなく、黄瀬君だ。
けど、問題はそこじゃない。
決してそこではない。

何故、向こうから堂々と歩いてきていたはずのあの人に気付かなかったんだ、私!!

「オマエの双子座は今日の運勢最悪だったのが…まさか負けるとは思わなかったのだよ」

驚いてるね黄瀬君。
うん、私も驚いている。

「…見にきてたんスか」

私も思った。それ私も思った!!逃げたいけど、逃げられるような距離でもない!
でもこのまま動かないでじっとしていても絶対にばれる!!
なんて絶妙な位置を取ってしまったの、私……!!

「まあ…どちらが勝っても不快なゲームだったが。サルでも出来るダンクの応酬、運命に選ばれるはずもない」

その持論の意味を一度きちんと理論的に。
り・ろ・ん・て・き・に!聞いてみたい。

「帝光以来っスね。ひさしぶりス。…指のテーピングも相変わらずで。つか、別にダンクでもなんでもいーじゃないスか。入れば」
「だからオマエはダメなのだよ。近くからは入れて当然。シュートはより遠くから決めてこそ価値があるのだ」
『……えー……』
「!?え、結衣っち!?」
「…誰なのだよ」
『はっ!?声でてたの!?びっくり!私の存在はいないものだと思って会話続けてください』
「何言ってるんスか!俺を慰めに来てくれたんでしょ!?」
『何か盛大な勘違いをしているようだね、黄瀬君?そういうのは自分のファンクラブの子にやってもらいなよ』
「うっとうしいから、いやっスね!」
『そんなきらきらした笑顔で私に言われても、私はキミを慰めないよ』
「うわっ!聞いた、緑間っち!?つめたいっスよね!?」
「誰なのか分からない上に会話に置き去りにされている俺に話しをふるな、黄瀬」

わー、凄い話がどうでもいいほうに進んでいく……。
勘弁してよ、早く進めろよ話を!!

「まあ、話を戻す。黄瀬、〈人事を尽くして天命を待つ〉という言葉を習わなかったか?まず最善の努力、そこから始めて運命に選ばれる資格を得るのだよ。
オレは人事を尽くしている。そして、おは朝占いのラッキーアイテムは必ず身につけている。だからオレのシュートは落ちん!!」
『……突込みどころがたくさんあると思うんだけど、これは突っ込まないほうがいいのかな、イケメンさん?』
「ちょ、さっきまで〈黄瀬君〉って呼んでくれてたんだからそれで統一しようよ!?……まあ、オレも毎回思ってることっスから、今更突っ込んでも、ねえ?」
『……これが、キセキの世代1シューター……』

絶望に似た感覚を味わわされた気分でした。

「…つーか、オレより黒子っちと話さなくていいんスか?」
「必要ない」

即答!

「B型のオレとA型の黒子は合性が最悪なのだよ。あいつのスタイルは認めているし、むしろ尊敬すらしている。
だが、誠凛などと無名の新設校に行ったのは頂けない。学校選びも尽くせる人事なのに、あんな学校で勝とうとしているのが、運命は自ら切り拓くとでも言いたげで気に食わん。
ただ…地区予選であたるので気まぐれで来てみたが、正直話にならないな」

……キセキの世代、とは皆が皆こんなんなの?こんなにもおごり昂ぶって天狗の鼻なの?
なんなの、人生舐めすぎでしょう。ほんと。
私だって、まだ16年しか生きてないけど、生きてないけども…!!


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