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火神君にボールが渡る。もちろん、DFについているのは黄瀬君。

「……?何か変わったんスよね?」

変化がわからなかったのか、黄瀬君がそう呟いた。
…私、聴力よくなったなぁ…。あれか、これもまたトリップしたついでにつけといたよーオプションか……。
もういいや、なんにでもなって。

火神君が走り出す。黄瀬君がソレに併走する。しかし、次の瞬間、火神君が【後ろ】に向かってパスを出す。それに気付いた黄瀬君が何とか反応した瞬間。
ソレよりも早くテツヤくんが【前】にパスを出した。

「(―――!?黒子っちと連携で!?)」

火神君のレイアップで点が加点される。
そして、再び火神君がボールを手に取り、先ほどと同じようにパスをまわす。
さすがにそれに気づいたんだろう黄瀬くんがソレを止めに入ろうとしたけれど、おそらく、並外れた観察眼を持ったテツヤくんにソレが伝わってしまったんだと思う。
次の瞬間には、テツヤくんは火神くんではなく、日向先輩に向かってパスをまわした。

そして、日向先輩は美しいフォームで3Pを決めた。

「来たぁ3P――!!3点差!!」

周りがざわめく。

海常のレギュラーにも、少しだけ緊張が走り始めた。

「…相当打ち込んでるぞ、あの4番…後半気ぃ抜くなよ。それよか、10番だ。抜くパターンに11番を組み込んできやがった」
「……?パスもらいだけだった10番がパスするようになっただけだろ?そこまで変わるのか?」
「えらい違いだよバカ!」

『――そうですよね、今までテツヤくんのパスと火神君の1on1はあくまで別々のオフェンスパターンですもんね』
「ええ、けどパスが繋がったことでお互いの選択肢が増えて、前より一段上の攻撃力になるのよ!しかも、その要である黒子君は黄瀬君が動きをコピーできない…いわば天敵!火神君と黒子君子の二人なら…多分いける!!」

「黒子っち…」

悔しそうに表情をしかめる黄瀬くんを見た。

「…………黄瀬君は強いです。ボクはおろか、火神君でも歯が立たない。…けど、力を合わせれば…二人でなら戦える」
「…………やっぱり、黒子っち変わったっスね…。帝光時代にこんなバスケはなかった…けど、そっちもオレを止められない!そして、勝つのはオレっスよ…!
黒子っちの連携をお返しすんのはできないっスけど…黒子っちが40分フルに保たない以上…結局後半ジリ貧になるだけじゃないスか」

ボールが、黄瀬くんに回った。
そして、進もうとするその先には――。

「なっ…!?」

皆が愕然とする。

「黒子が…黄瀬のマーク!?」

テツヤくんが、黄瀬君くんのマークについたから。



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